松沢呉一のビバノン・ライフ

人間は地球温暖化を解消できるほど賢くない—諦めるという選択-(松沢呉一)

 

アルプスの氷河が消えていく

 

vivanon_sentenceCOP26では中国と並んで、あるいは中国以上に日本も批判されてますが、火力発電を減らすのは難しいっすよ。もっとも簡単なのは原発に依存することです。場合によってはその選択もありかもしれないけれども、私はそうは割り切れない。といったいろんな割り切れなさがからみ合って、 おそらくCOP26はさしたる成果なく終わり、そのうち人類は滅びるわけです。バンザーイ。

COP26がきっかけになっているのでしょうけど、地球温暖化についての報道が急増している感があります。解決はできないとしても、観ておく価値はあろうかと思います。

以下はアルプスの氷河が急速に消えつつあることがよくわかる内容。

 

 

ヤバい、冒頭に大きな胸を揺らして、ヘソを出して公道を歩いている女がいます。口紅を塗って性的対象であることを自らアピールしながら、他人の性的アピールを許さないおかしな人からクレームがつくぞ。

昨日今日ではなく、30年も50年も前から氷河は溶け出していて、そこから急速に氷河が減っていったこともよくわかります。ずーっと訴えてきた人たちがいたのに、世間は耳を傾けなかったのですから、しゃあないですわね。

このことを深刻にとらえられるのは、消えていくことをそのまま見せているからです。わかりやすく見せることが大事さね。

でも、こういうのを見ると、「早く行かなきゃ」というので、フランスまで飛行機に乗る人が出てきそうです。今の生活、今の発想のままなのです。

 

 

ワシントンの桜が枯れていく

 

vivanon_sentence以下の報道では、ワシントンの一部が水没の危機にあることを、ポトマック川沿いの桜が次々と枯れていることでリアルに伝えています。

 

 

でも、これを防ぐために防波堤を作る計画が出ているという話で、「ああ、やっぱり人類は滅びるんだろうな」と思いました。

それをやったら人類が危機的な状況にあることが見えなくなるだけじゃないですか。根本の解決から目を逸らすごまかしです。アルプスの氷河が溶けているからって、巨大冷却装置を作って、大量の重油を使って氷河を保存するのと同じようなもの。

日米友好の象徴なんざ、桜の木を1本どこかに残しておけばいいじゃろ。アルプスの氷河のように、ほとんど消えかかっていても観光客は来るんだから、残骸を残しておけばいいのです。これからは「温暖化の残骸観光」ですよ。

でも、保護団体も市の当局者も、今まで通りに仕事をしてしまうのです。その仕事で予算が下り、自分らの評価が高まり、設計会社や土木業者が潤います。それによって石油エルネギーがまた使われる。これもまた今の発想を延長している。

どうしたら「一所懸命にならない」「仕事をしない」「評価を求めない」って方向に転換できるのかにかかっています。「いい加減になる」ってことです。「一所懸命になる」「仕事をする」「評価を求める」ってことでもいいのですが、あくまでそれはCO2を排出しない方向でなされなければならない。それができない。地球がこうなった原因についての反省がないまま、その価値観を延長するだけ。前向きに「諦める」って選択をしっかり考慮した方がいいと思います。

しかし、「自分がここまで生きてきた意味を放棄する」みたいな話にもなりますから、相当に難しい。子どもを多数生むことが美徳である発展途上国でその価値観を変えるのに長い長い時間がかかっていることと同じような話です。

 

 

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