中国人YouTuberの場合[上]—働いている職場での不正にどう対処すべきか・住んでいる場所の不正にどう対処すべきか[3]-(松沢呉一)
「国家の場合—働いている職場での不正にどう対処すべきか・住んでいる場所の不正にどう対処すべきか[2]」の続きです。
中国人YouTuberたち
外国人が日本でどういう生活をし、何を考えているのかを知りたくて、よく在日外国人YouTuberたちの動画を観ています。
在日中国人が文化的な面、習慣的な面といったところで、中国を落として日本を持ち上げることは他の国と同様にありますし、犯罪をするような悪い中国人たちを批判することもあります。
しかし、はっきり中国共産党、中国政府、習近平の名前を出して批判していた記憶はありません。たとえば「中国人によるネット詐欺が多いのは政府のせい」と考えれば、中国に関わるすべての批判は政府批判とも言えますが、よりわかりやすく共産党や政府を批判していたことは皆無です。
その点、他の国だと、自国政府を批判したり、政治家を馬鹿にしたり、LGBT禁圧を批判するようなこともあります。それがないことが中国の特異性と言えるかもしれない。
YouTubeではそういうチャンネルは見たことがないですが(存在はしているでしょうが、私は観ていない)、亡命した人たちがTwitterで猛烈に中国共産党を批判しています。亡命した人と中国に帰る気がある人との温度差がすさまじい。
中国に帰る気がある人が政府批判をやったら帰国してから不利益を被るかもしれず、日本の中国人ネットワークの中で不利益を被るかもしれないですから、政府批判をしないことは責められない。
しかし、その姿勢を批判せずに済ますには条件がつきます。
※チャイニーズチャイちゃんねる「【中国の現状】中国人「募金はするな。」その真意とは?中国本土から送るリアリティな帰省記!」より。中国人YouTuberのPooちゃんについては以下参照。この回はコロナで実家に帰ったときのもので、この一連の動画はメチャ面白かったです。在日外国人が日本に驚いたり感心したりするよりも、本人にとってはどってことのない日常であっても、自国の話をしている方が私は好きです。
オゲレツYouTuberのPooちゃん
私がもっともよく観る中国人のチャンネルは、通風で、痔で、素人童貞のPoo(ポー)ちゃんのチャイニーズチャイちゃんねるです。
激辛インスタント食品や激辛レトルト食品を食べるのはYouTuberの定番。
一緒に出ている梅梅(むいむい)さんの日本語はネイティブとまるで一緒。2020年3月の時点で日本に3年と言ってます。中国にいる時から日本語の勉強をしていて翻訳・通訳の仕事をしていたそうなので、この3年ぽっちで覚えた日本語ではないですが、中国にいて独学で翻訳・通訳をやれるくらいになるのは尋常ではないです。
彼女は発音、イントネーションが完璧である上に、日本語の語彙が豊富かつ、使い方が的確で、2′17秒に注目。「だいたいみんなひよっちゃう」と言ってます。日本の若者が使わなくなってきていると言われる「ひよる」ですよ。
ここまで中国人に鮮やかに使われると、そもそも本当に死語化しつつあるのかどうかから疑問が生じないではないです。
なお、彼女は自分のチャンネルもやっています。そっちにもPooちゃんが出ていて、かぶりすぎ。
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