松沢呉一のビバノン・ライフ

木下富美子都議に対する小池都知事のコメントと交通事故を起こす高齢者—島視点とは?[3]-(松沢呉一)

木下富美子都議の辞職会見で納得しにくかった点—島視点とは?[2]」の続きです。

 

 

小池百合子都知事のコメント

 

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続いてこちらを見てください。

 

 

 

これは木下富美子都議の会見より前におこなわれたもので、小池都知事は「今の状況を理解できない人ではないというふうに私は考えておりますし、自らが出所進退をただしていくということ、このことについて彼女自身が決することを確信しているところでございます」とコメント。

つまり、ここまで木下都議は自分が何をしたのか、どういう状況にあるのかを理解できないがためにこんなことになったと見ているだろうことがわかります。判断する能力のどこかに欠陥がある。

実際そうだったのだと思います。だから、委員会出席の際はシャネルの腕時計をして、赤いワンピースを着てきたわけで。小池都知事なのか誰かわからないですが、今回はさすがに注意されたのでしょう、地味なスーツで、腕時計はしてません。

今回の会見を見ても頭の回転は悪くない印象。仕事はできるかも。しかし、メタな視点がないタイプではなかろうか。ここに至っても「自分はまだ活躍できたはずなのに、妨害が入って潰された」と考えていることが見てとれるのでイラつくのです。

 

 

「3年間で5回免停」が物語る人物像

 

vivanon_sentence木下富美子都議は「免許の再取得はしない」と会見で宣言してました。当然でしょう。酒を飲んで暴行事件を起こした人が「もう二度と飲みません」と約束するのと同じで、ひとつは懲罰の意味。楽しみを放棄する。もうひとつは能力なり資格なりの問題。酔っ払うと自制心を失う人はまた同じことを繰り返す可能性があるので、飲まない。

少なくともこれまでの彼女は自分の運転能力を客観的にとらえられていなかったのだと思います。今までそこを改善しようとしてこなかった人が、そのまま政治を志したことに間違いがあります。

なにしろ3年間で5回免停ですよ。スピード違反や信号無視などの積み重ねらしいのですが、異常でしょ。いつ免許をとったのかわからないですが、記録がないだけで、その前からこんな調子だったのではないか。「裁判に関わるので」として回答はしなかったでしょうが、記者会見ではここも突っ込んで欲しかった。

投票日直前の大事な時に事故を起こしてしまったのは「運が悪かった」以上の意味があります。免停中にバイクに乗っていたことを匂わすツイートをしていたわけで、事故をやらなくてもいずれバレかねないことをやっています。そこからバレなくても、走行中に検問にひっかかって「免許証を見せて」ということはよくあるわけで、無防備すぎます。

それだけ免停を食らうってことは運転能力にも欠陥があります。運転は運動神経と関係しますが、複数のことを同時にやる能力だったりするので、自分の足で走るのが速い人でも運転は下手ってことがあり得るのだと思います、

彼女は決して頭が悪い人ではないのだけれど、視点に欠落のある人。自分に運転の能力がないことを自覚できない。議員としてやっていいことと悪いことの区別がつかない。マスコミが多数詰めかけていくところに赤いワンピースにシャネルの時計をしていくべきかどうかの判断もできない。すべてがバラバラの島に点在していて、それらをつなげて見る視点が欠けている。

週刊文春」の記者が、彼女が送ったメール内容について質問をしていて、彼女は動揺したようにも見えながら心当たりがないとしています。先々の展開を見抜けずにその場限りのメールを送ったのではないかと私は思いました。「今」ではない「先の時制」の視点がない。

前回埋め込んだANNの映像より

 

 

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