松沢呉一のビバノン・ライフ

ADHDしかいない集団—自分の中の発達障害・人格障害[中]-(松沢呉一)

かまいたち濱家の「クセ」は小学校の頃の私の「症状」と似ている—自分の中の発達障害・人格障害[上]」の続きです。

 

 

どこからどこまでがADHDの特性か

 

vivanon_sentence表に出にくい精神的特性は、第三者が短期間で察知することができにくい。また、自分自身も察知できないことがあります。100メートル走や視力だったら瞬時に数値で能力がわかります。しっかり計測しなくても、ちょっと走るだけ、ちょっと遠くのものを読ませるだけでもわかります。英語でも数学でも国語でもテストである程度のことはわかります。

しかし、精神的特性は、それで支障が生じて精神科医に行ったりしない限り、正確にはわからん。好奇心でテストをやってみてある程度のことはわかることもありますが。私自身、自己診断で、「その傾向があるな」と察知しているだけです。

その自己診断で、私は強迫性人格障害とADHDの傾向があると見てますが、実際にそう診断されている人に照らすと、私は傾向があっても決して強くはなく、だから、まがりなりにも社会生活は営めてきたのだろうと思います。

たとえばADHDは、こういう特性。

 

 

 

彼女は小学校の時にADHDと診断され、今もその特性を残している筋金入りです。

 

 

イヤーワームという現象と混沌思考

 

vivanon_sentenceここに出ている5項目のうち、「よく必要なものを失くす」「忘れ物が多い」「落ち着いて座ってられない」は程度の違いはあれども。私もはっきり自覚があります。

常に脳内ミュージック」はゼロではないけれども、ここまでのものではありません。検索するとイヤーワームという現象と思われ、ADHDとは関係なさそうで、強迫性障害との関係が指摘されています。

個人の自覚による特性は、必ずしも他者には適用できないので、「診断」という意味では、あんまり役には立たないのですが、この動画は私にとって大いに参考になりました。

会話中でも別世界に行っている」という特性です。身体的にジッとしていられないことの精神版。なぜ忘れ物をし、物を失くしてしまうのか考えると、注意力散漫ということであり、ADHDはしばしば集中力がないとされていますが、私の場合は集中力があるために忘れる実感があります。集中していると他のことを全部忘れる。そのポイントがつねに移動しているので、次から次と忘れます。複数のことを同時にできないから、他をきれいに忘れるしかない。

何時間も、時には何日も考え続けることはよくありますが、それは自分の興味だからです。興味がないことは少しも考えられない。そのことと他人の興味がきれいに重なって、会話が進行していくこともあるんですけど、どうしても他者との会話は熱量や方向にずれが生じてきて、気づくと上の空になっていることは多いかもしれない。

だから自分のペースではない授業が苦手。講演会も苦手。ジッとしているのが辛いのは身体だけじゃなく、脳内もです。高校の時には「授業は頭に入らない。一人で本を読んで勉強した方がいい」とはっきり思ってました。

私の思考法は特殊かもしれないとこの歳になって気づき始めています。「考え続ける」というと、一点に集中しているイメージを持たれるかと思うのですが、逆なんです。混沌とした状態になっていて、彼女が言っているように、次から次と考えが転換していき、「あれ? 何を考えていたっけ」となることがしばしばです。悪い点もあるのだけれど、視点を多層にする点では私にとっては必要な作業であって、その思考がADHDの特性かもしれないと気づいたのはこの動画がきっかけです。

※The Duke Robillard Band「Ear Worms」 イヤーワームを曲名やアルバムタイトルにしているミュージシャンがいるだろうと思って検索したらいました。

 

ADHDの症状

 

vivanon_sentence以下は国立精神・神経医療研究センターによる症状(児童が対象で、親や教師が判断するものでしょう)。

 

以下の9つの症状がそれぞれ(不注意と多動・衝動性)6項目以上みられて、それらが6か月以上継続し、家庭や学校など二つ以上の環境で、生活や学業に悪影響をきたしているときにはADHDの可能性があります。

 

不注意

  • 学業・仕事中に不注意な間違いが多い。
  • 課題や遊びの活動中に、注意を持続することが出来ない
  • 直接話しかけると聞いていないように見える。
  • 指示に従えず、業務をやり遂げることが出来ない
  • 課題や活動を順序立てることがむずかしい
  • 精神的努力の持続を要する課題を避ける、いやいや行う
  • なくし物が多い
  • 他の刺激によって気が散りやすい
  • 日々の活動の中で忘れっぽい

多動・衝動性

  • 手足をそわそわ動かしたり、いすの上でもじもじする
  • 授業中に席を離れる
  • 不適切な状況で走り回ったり高いところに登ったりする
  • 静かに遊べない
  • まるでエンジンで動かされているように行動する
  • しゃべりすぎる
  • 質問が終わる前に出し抜けに答えてしまう
  • 順番を待てない
  • 他人の邪魔をする

 

 

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