松沢呉一のビバノン・ライフ

M-1グランプリ2021を観て「もしお笑いにクオータ制を導入したら」と考えた-(松沢呉一)

 

M-1グランプリ2021について人並みに語る

 

vivanon_sentence今年のM-1グランプリの優勝は錦鯉

 

 

「なんで錦鯉だよ。それより誰それの方が面白い」といった不満はさまざまありましょうけど、こういう場合は素直に優勝した人を讃えたいものです。

錦鯉、おめでとうございます。順当だと思います。でも、私はそれよりオズワルドの方が面白かったです。

 

 

一見まともに見える頭のおかしい人って魅力的です。

 

ももも面白かったです。

 

 

これだけ見た目の相性が悪いのはそれだけで有利。美も笑いも乱調にあり。

 

あと、ゆにばーすはらがムチャクチャ気に入りました。以前からちらほらと観てはいたのですが、完全にハマりました。

 

 

 

決勝に残った10組20人(敗者復活を含む)のうち、女芸人ははらのみ。5パーセントの逸材です。

 

 

なぜ女芸人はグランプリを獲れないのか

 

vivanon_sentenceM-1グランプリの座を得た女芸人はこれまで 1人もいません。

これについてはゆにばーすハイヒールリンゴと語っています。

 

 

女性差別も甚だしい。不公正な審査が行われているに違いない。

そこで「男女比を同じにしろ」という勢力が現れます。男がグランプリになった翌年は必ず女のコンビか、男女のコンビをグランプリにする。あるいは決勝戦の残る10組の半分は女のコンビか、男女のコンビニする。M-1グランプリのクオータ制

言うまでもなく今年はゆにばーすがグランプリです。私はゆにばーすがグランプリで異存はないですが、女の芸人は能力が劣っていると認める制度でグランプリになって本人たちは嬉しいか?

私は「アイドルになりたい女はいっぱいいるので、オーディションに山ほど集まるし、女優になりたい女はいっぱいいるので、劇団の入団試験や映画のオーディションには山ほど集まるけど。漫才をやりたがる女の絶対数が少ないのであって、これは女たちの選択の結果でしかなく、差別とは言えない。もし女が芸人になる決断をすることに障害があるのなら、それを解消した方がいい。しかし、無理やり数字合わせをすると、M-1グランプリの評価が落ち、さらには漫才そのものがつまらなくなる。芸人を目指す女をどう増やしていくか、どう不利さを克服していくかから考えるしかない」と主張します。

もちろん、これも簡単ではないですけど、たとえば芸人を抱えている事務所が女のコンビ、あるいは男女のコンビに絞ったコンテストやライブをやっていく。養成所で女芸人を目指す人たちの指導に力を入れて、実のところ、女芸人は「女がやりそうにないことをやれば受けることもあるのだから、有利な点もある」なんてことをしっかり伝えていく。

 

 

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