松沢呉一のビバノン・ライフ

ワクチン義務化が加速するヨーロッパ各国とそれに反対する人々—日本はどうなる?[下]-(松沢呉一)

死ににくいオミクロンの登場で新型コロナ騒動は終りかと思いきや—日本はどうなる?[上]」の続きです。

 

 

3Gから2Gへ、2Gから1Gへ

 

vivanon_sentence前回取り上げたユーロニュースの記事に含まれていないオランダでもプロテストが起きています。

 

 

プロテストの大半は平和的なのですが、ベルギーやオランダでは夜の部が荒れてます。

タイトルに‘Anti-2G corona protest’とあります。2Gはドイツ語から来たものですが、英語でも2Gルール、3Gルールと言われ、使いやすい用語なので私も使うことにします。

ドイツの感染防止法の改正によって、職場での基準を示した3G-Regeln(3G規則)という言葉から始まってます。ワクチン接種済みの人(Geimpf)、感染から回復した人(Genesen)、検査が陰性だった人(Getestet)のみが職場に入れることを意味します。

ドイツを始めとするヨーロッパの国々では、これが職場外にも適用されるようになり、この3種のGの人々はコンサート会場、映画館、劇場、スポーツ競技場に行けました。ワクチンを接種しなくても、検査をすればよかったわけです(国によって検査の有効期間は違って、24時間だったり72時間だったり)。これがワクチンを強制していないという担保になっていました。

1ヵ月前に、ドイツではワクチン派と反ワクチン派が対立し、地域内、職場内、家族内での反目が強まっているという話を書きましたが、3Gではワクチン接種者が頭打ちになったため、あのあと、いくつかの州では陰性証明があるだけの人は外されます。これが2Gです。

入場を制限される店も増えて、スーパーや食料品店、薬局などの生きていくのに必須な商品を扱う店以外は入れず、公共交通も利用できなくなります。これはもはや義務化と言っていいでしょう。ワクチンを打たないと公共サービスも受けられないのです。

反ワクチン派はオミクロンの登場で「風邪と一緒。もうワクチンはいらない」となっているのに対して、ワクチン支持派は、2Gをも支持。

しかし、ワクチンを二度打っただけの人やすでに感染して治癒した人も大半はオミクロンに感染するため、この人たちは陰性証明を必要とする方針も出てきています。これが2G+。ワクチンを接種済みか感染済みの上に陰性証明のある人々のみがまともに生きていくことを許される社会の到来です。

さらに感染して治癒した人は外されて、1Gという方針も出てきています。ケニアです。ワクチンを打った人だけが通常の生活を営める。あとは回数を増やしていくのでありましょう。ワクチンを10回以上接種した人のみ入場可みたいな。

※2021年12月15日付「SRF」 ケニアの新しい対策を1Gとするドイツメディアの報道です。ケニアは他のアフリカ諸国同様、ワクチン接種率は低くて6パーセント。感染者が急増したことに業を煮やした政府はアフリカでもっとも厳しいワクチンの義務化を進めており、免許証や身分証はワクチン接種証明が伴わないと無効。ワクチン未接種だと自動車の運転もできず、公共の乗り物にも乗れない。この新措置は12月21日から実行される予定でしたが、希望者に対するワクチンも終了していないため、1月に延期。死亡者が増えてないのに、そうも厳しくする意味がわからない。

 

 

ワクチン接種を証明するマイクロチップを埋め込むアイデア

 

vivanon_sentenceワクチン接種をいかに重視しようとも、ワクチン接種の証明は偽造ができてしまい、事実、どこの国でも相当数が偽造のため、この対策として、ワクチン接種をしたことを証明するマイクチップを埋め込む方法がスウェーデンの企業によって提案されています。ワクチンを接種するとマイクロチップを埋め込まれるという陰謀論とは関係ないです。技術的には十分可能。

新興企業の話題作りの感もありますが、「絶対に感染者がいてはならない施設」の出入りをチェックする方法として採用されるかも。

 

 

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