松沢呉一のビバノン・ライフ

ケニアの新ルールをチェカTVで実感する—インフルエンザと変わらなくなった新型コロナ-(松沢呉一)

 

オミクロンに対応すればいいだけ

 

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オミクロン変異体の登場で、重症者、死者が減り、いよいよ新型コロナは最終段階に入りつつあって、もはやインフルエンザと変わらなくなってきました。

インフルエンザだっていっぱい死にますから、それが怖い人はワクチンを接種します。しかし、健康な人はそうそう死ぬものではないので、ワクチンを接種しない人も多く、それでとやかく言われることはないし、行動を制限されることもない。マスクをする人もしない人もいる。新型コロナもそれでいいじゃないですか。

なぜそうならないのか、不思議でしょうがない。医療の逼迫が問題となってますが、この原因のひとつは、死ににくなった新型コロナに対応しようとせずに、濃厚接触者の自宅待機を厳しいままにしていることにあって、基準をゆるめれば相当まで解決です。医療関係者はワクチン接種率が高く、ブースター接種も済ましている人が多いでしょうから、オミクロンでも感染リスクは落ちます。医療現場では引き続き予防対策は徹底するとして、濃厚接触者まで厳しく管理する必要はないと思うなあ。

実際に規制をゆるめた国もあって、これからは、いかに変化した現実に対応していくかじゃないんですかね。

しかし、ウィズコロナ方針に転じた国でも、ワクチン接種が絶対条件だったりするので、なお英米を含めた各国でワクチン義務化に反対する動きが今年に入っても続いています。

この週末はドイツでもフランスでも大規模デモがあって、フランスは全土で10万人以上参加。以下はベルギー。

 

 

国や州によっては屋外でのマスク着用も義務化されましたが、ベルギーはしなくてもいいみたい。したい人がすればいい。室内は引き続きできるだけした方がいいとは思いますけどね。

 

 

ケニアの1Gルール

 

vivanon_sentenceワクチン義務化が加速するヨーロッパ各国とそれに反対する人々—日本はどうなる?[下]」にこう書きました。

 

 

1Gという方針も出てきています。ケニアです。ワクチンを打った人だけが通常の生活を営める。あとは回数を増やしていくのでありましょう。ワクチンを10回以上接種した人のみ入場可みたいな。

 

 

「ワクチン接種済の人」「感染して治癒した人」「陰性証明のある人」は公共施設、公共交通、ホール、競技場、店舗、レストランなどを通常通りに使える方針を3G規則と呼びます。ヨーロッパの主流的政策です。ここから、陰性証明のある人を外したのを2G規則と呼び、ここまで踏み切った国もあります。さらにケニアは感染して治癒した人を外した方針を打ち出しました。1Gです。

ひとたび感染した人でも、再感染の例があるためですけど、んなこと言ったらワクチンを打った人でも完全ではないのですから、0Gになります。ただのロックダウン。

「医療従事者」「介護従事者」「警官」「消防士」「教員」といったように、職種を絞ってワクチンを義務化した例を別にすると、ケニアは世界でもっとも厳しいワクチンパスの規制でしょう。

ケニアのワクチン接種率は12月の段階で6パーセントとも12パーセントとも言われていて(2回の接種を終えたのが6パーセントかも)、国民の大多数は人間扱いされなくなります。都市部ではもっと接種している率は高いでしょうけど、接種率の低いエリアでは、近隣に接種会場がないから接種できない人たちもいて、その人たちは、今後、会場までのバスや電車も利用ができない。これはさすがに配慮があるかもしれないですが、本来ワクチン接種を進めるための方策なのに、逆効果です。

また、ケニアの1Gは、規制実施施設に病院までが含まれています。なんらかの病気になっても、新型コロナのワクチンを接種していないと病院に行けない。薬も処方してもらえないのです。死ねと。

新型コロナの対策を優先したため、HIVやコレラ、チフスなどの感染症が広がっているアフリカで、この規則は命取りであるとともに、予防の観点から見ても悪手です。

これに対してHRN(ヒューマン・ライツ・ナウ)も批判をしています。とくに病院の利用ができなくなるのはひどいですけど、2Gでも3Gでも、税金で運営されている公共サービスを受けられなくなったり、ライフラインと言えるサービスを受けられなくなるのは不当です。

つまり、ケニアが特別にひどいのでなく、ワクチンパスを導入しているヨーロッパの国々もひどい。なんでこんな人権侵害がまかり通ってしまっているのでしょうか。

ケニアの新規則は12月21日に実施予定だったのですが、憲法違反だとする訴えが起こされたため、裁判所はその結論が出るまで実施を停止せよとの命令を出しました。

これでひとまず落ち着いたと思ってました。ワクチンパスによる実質的なワクチンの義務化は、デルタ型を前提にしたものであり、オミクロンの登場で無効化されるだろうと。

※2021年12月14日付「ALJAZEELA」 裁判所が実施の停止を命じたことを報じる記事

 

 

チェカTVからのお知らせ

 

vivanon_sentence今年になってから、チェカTVの年末年始更新分を観てました。

以下は12月31日更新分ですが、1G規制についてユーキさんが説明しています(1Gという用語はケニアでは使われていないと思います)。

 

 

いつものように明るいトーンですが、状況はメチャ厳しい。

 

 

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