カップヌードルの値上げも気候変動の影響—タコの高騰がどうなのかははっきりしない-(松沢呉一)
カップヌードル値上げの衝撃
6月1日出荷分から、日清食品のインスタント麺各種が値上がり。
カップ麺を希望小売価格通りで買うことはあまりないため、正確に何がいくらかもわかってないですけど、「希望小売価格193 円が214円に」はインパクトがあります。200円超えは大きい。その衝撃度は富士そばの「かけそば」が340円になったことに匹敵しましょう。毎日3食かけそばを食っても、月の食費は3万円を超えるんですよ!!
原因は資材価格の高騰や運送費なども挙げられていますが、筆頭は小麦の価格上昇です。
以下は2月3日付「価格改定のお知らせ ~2022年6月1日(水)出荷分から~」に書かれた日清食品の値上げの理由箇所。
麺の主要な原材料である小麦の価格が大幅に高騰していることに加え、包材をはじめとする資材価格やエネルギー費、さらには物流費も上昇が続いています。
これに先立って昨年12月10日付で発表されていた「冷凍麺製品 価格改定のお知らせ
~2022年3月1日(火) 納品分から~」でも、小麦と資材の価格上昇が挙げられています。
インスタント麺も冷凍麺も、原材料のほとんどは小麦粉でありますから当然でありますし、小麦粉の価格上昇の主原因は、これまで見てきたように、気候変動による干ばつや洪水です。
原油の値上がりについては数ヶ月で落ち着く可能性があって、これだけだったら辛抱する選択もありますが、小麦不足については今後も継続すると見られており、場合によってはさらに悪化しますから、この辺で値上げをしておくのが賢明という判断かと思われます。細かくやっておかないとおっつかなくなります。
ここんところをしっかり報道すると、いかに温暖化が深刻であり、私らの生活の隅々まで影響をすでに与えていて、この延長線上に世界中で飢餓が始まっていること、今後事態が改善される見込みはほとんどないことまでが見えてきます。
タコの高騰
カップ麺の値上がりは小麦不足が原因ですから、気候変動が関わっていることまで推測が可能ですが、タコの高騰は気候変動と関係しているのかどうか、調べきりませんでした。
寿司を食う時にタコがないと納得できない人は決して多くないでしょう。酒のつまみはタコの唐揚げかタコの酢の物がベストという人も決して多くはないでしょうが、タコ焼きはタコがないと話にならない。この間のタコ焼きパーティでも、チーズ、ツナ、ソーセージ、チョコなど、いろんなものを試しましたが、タコに勝てるものはなし。
この報道ではわからないですが、日本のタコ消費量全体の6割から7割が例年輸入されています。最大輸入元がモーリタニアで、輸入量の4割近くを占め、次がモロッコ。この2カ国で輸入量の7割に達します。モーリタニアは日本のタコ需要の2割以上を占めているため、ここが不漁になるだけで全体が高騰するのです。
モロッコは好調ですが、ヨーロッパでのタコ消費量が増えているために高騰。消費量が増えている以上、高値は今後も続きます。
ということなのですが、なぜモーリタニアでタコが昨年捕れなかったのかの理由は不明。
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