「日本はLGBT先進国」とピロシキーズ—ロシア人YouTuberの人気[5]-(松沢呉一)
「もっともオゲレツなロシア人YouTuberピロシキーズ—ロシア人YouTuberの人気[4]」の続きですが、「藤井隆のオネエ芸を批判する人たちへの反論(20年前の話を蒸し返す)—メキシコのホモフォビアと日本のホモフォビア[2]」「オネエはただ笑われるだけの存在か?—メキシコのホモフォビアと日本のホモフォビア[3]」あたりも参照してください。
たしかにロシアの同性愛事情は恐ろしい
片割れがゲイであるため、ゲイネタもよく取り上げているピロシキーズですが、ロシアのゲイ事情について語った回があります。最初に私がピロシキーズを認識したのはこの回だったかも。
ピロシキーズの二人がロシアにいたのは子どもの頃だけなので、最新の情報は知らず、日露を頻繁に行き来しているため、最新のロシア事情も知っているバイのロシア人YouTuberマリアランドさんをゲストに迎えています。マリアランドさんのウクライナ情勢の分析(自分のチャンネルでやっている)はあんまり信用してないですけど、それはさておき。
彼らは「日本は進んでいる」と言ってます。LGBTについて日本で「進んでいる」という場合はヨーロッパだったり、アジア内では台湾だったりを指すわけですが、ロシアからすると、日本も進んでいるわけです。
比較の問題ですから、以前書いたように、中国人YouTuberが「日本は個人主義」と言っていたのも間違いではありません。外からの視点が入ってくることで、自分らの国の認識が大きく違ってくることがすごく面白い。
ブラス氏が「理解せんでもええ。生きる邪魔さえせんかったらええ」と言っているのは完全に私と合致。他人のことなど理解できるわけがないのだから、他人の選択を妨害しないことだけがルール。とは言え、理解できるところについては理解できた方が良くて、理解できる人に対して、その説明くらいはした方がいい。
同性婚については自身賛成でありながら、「反対意見に耳を傾けて、同性婚に不安な人に対する説明ができるようにした方がいい」という点も私がいつも言っていることと同じです。同性婚は法律の問題ですから、多数派を味方につけるしかなく、説明を丁寧にやっていかないと社会は変わらんです。
「LGBTがビジネスになることで歯車が狂ってきている」という危惧を語っている点も同感です。
エレーナ・グリゴリエワ殺人事件
この中に出てくる「エレーナ・グリゴリエワ殺人事件」は2019年7月、サンクトペテルブルクでLGBTの活動家が殺された事件。日本ではまるで取り上げられておらず、ウクライナ・メディアの日本語版が、キエフのロシア大使館に対して事実の解明を求める行動があったことを記事にしているだけです(こちらは「エレーナ・グリゴリエヴァ」になってますが、ロシア語ではグリゴリエワの方が適切なよう)。
以下、ラジオフリー・リバティの報道。
ロシア語ですが、下の解説を自動翻訳で読めます。自宅近くで絞殺され、顔と背中を切られていたとのこと。容疑者は捕まっています。
ロシアのメディアも報じていますが、主流メディアには期待できず、政府のLGBT政策を正面から批判することは難しいかと思います。法に基いて逮捕される可能性とともに、それこそ殺されることまで覚悟する必要があります。政府も怖いし、ロシア正教原理主義者たちも怖いです。
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