松沢呉一のビバノン・ライフ

とめどもないもの—古塔つみのパクリとフリーダム・コンボイの拡大-(松沢呉一)

ワクチンのリスクを正しく見積もらずに義務化を進めてきた各国政府に対するプロテストがいよいよ激化」の続きです。

 

 

 

とめどもない古塔つみのパクリ

 

vivanon_sentence

現在、「とめどもない」という表現がピッタリなのはイラストレーター古塔つみのパクリです。世界のプロテストに気を奪われて、私はまたも出遅れて先週知ったところで、いまさら書くようなことでもない。仮に書こうとするとあまりに内容が広範なために、まとめる作業もとめどもなくなって、まとめている間に大量に新たなパクリが発掘されましょう。

よって詳しくは割愛しますので、この件についてよくわかっていない方はJ-CASTニュースでも見ておいてください。

そういえばちょっと前から勝海麻衣に関する記事へのアクセスが増えていました。「また活動を始めたのかな」と思っていたら、この関連だったのか。なお私は、勝海麻衣は後始末をしっかりやって活動を再開すればよく、その作品いかんでは応援することもやぶさかではありませんが、古塔つみは40代のおっさんであると思われるので、イラストレーターとしての出直しはほとんど無理じゃないですかね。その歳になると、欠落した何か(良心とかそういう類のもの)を今から得ることは無理だと思うので、本業である園芸業をやっていくのが賢明。そっちの世界でも良心は必要だと思いますが。

「トレース」とされていますが、どうやらトレースさえしておらず、PC上の操作だった可能性も指摘されています。他人の線を学ぶためにやるならともかく、ただパクるだけなら手作業の手間をかける必要はないですもんね。

だとすっと大量生産も可能なわけです。1点2点ならともかく、少なくとも数十という単位ですでにパクリが指摘されております。作品の大半がオリジナルの中で、模写であれトレースであれコピーであれ、ほんの一部に使われただけであれば議論の余地はあるとしても(つまり、パクリ部分を外したとしても表現として成立し得るとみなされるような場合)、私が観た範囲ではほとんどが著作権侵害に該当しそうです。つまりは盗用。

あまりに多量、あまりに露骨であり、勝海麻衣同様、全作品がパクリではないかとの疑いも出てきています。

それにつけてもオリジナルを探し出す人たちはすごいなあ。画像検索で探せるものもありそうですが、「これは画像検索では無理だろ」というものもあります。ある写真やイラストが記憶に深く残っていて、そのパクリを目にすると、「どっかで見たことがある」となることはありましょう。今回のような騒動が起きると、最初から疑いの目で見るし、多くの人の目に触れるので、そういうものが次々と表に出てきますが、あそこまでやっていて、誰も今まで気づいていなかったはずはない。

オリジナルがないので、女の子のイラストであればどんな注文にも応じられる強みがあって、その点を重宝して、中にはパクリだと薄々気づいていて依頼した人たちもいるのでしょうし、途中でおかしいと気づいても本人に指摘できず、パクリ絵師に依頼したということになると自分の責任になるので、依頼を打ち切ることも、それを公言することもできなかった人がいるだろうとも想像します。

そういうもんなのよね。はっきり意見を言うことができない。自分の責任を回避したい。そのため、パクリだと指摘されても、商売のために版元は守ろうとする。そこに悪人がつけいるスキができます。

結果、一度できた流れはなかなか覆せず、今回のような爆発的な告発騒ぎがあると、堰を切って次から次と出てきます。

※2月14日に宝島社から発売された『彼女の愛が重すぎる』の表紙を古塔つみが担当し、即日パクリが指摘されて炎上。1年近く前に出ていた『古塔つみ作品集 赤盤』を出していた芸術新聞社が、今回の騒動を受けてすぐに出荷停止処分にしたのと違って、出たばかりの本を回収して、表紙を刷り直す損害はバカにならず、定石通り、耐えられるところまで耐えて利益を出そうとするのではなかろうか。

 

 

フリーダム・コンボイもとめどもない

 

vivanon_sentence

もうひとつ「とめどもない」のはカナダのフリーダム・コンボイから始まった反規制・反ワクチン強制のプロテストです。前振りの古塔つみから、無理やりつなげてみました。

北米、ヨーロッパ、ニュージーランドから、イスラエルにまで飛び火し、今はブリュッセルが熱い。

こちらも爆発的盛り上がりがあると、今まで言えなかった人たちも参入して、一気に批判が噴出します。言いにくい空気ができてしまった場面では、こういった爆発的契機が必要なのです。

日本でもなお児童への接種を進めようとしている人たちがいますが、やめろ。健康体だったらほとんど死なないオミクロン変異体よりもリスクが高いと思えるワクチンを、そうする意味がない児童に接種するな。

ブースター接種も意味がないどころか危険であると指摘されていますが、大人が自己決定して接種するのは好きにすればいいんでないか。と私は思ってますが、それにしても各国この流れを止められない。一度できた動きを止めることがいかに難しいかです。

※古塔つみのパクリはパクリ自体の完璧さ(まんまという意味です)、数の多さという点だけでなく、その影響が広範囲に及ぶ点でも掘りがいのあるパクラーであり、佐野研二郎、勝海麻衣に並ぶ逸材と言えましょう。このTogetterは、文化庁による不正商品撲滅キャンペーン「オリジナルを守ろう!」のメインヴィジュアルに古塔つみのパクリ作品が選ばれていた件をまとめたもの。面白すぎるべ。

 

 

フリーダム・コンボイの政治的背景

 

vivanon_sentenceトラッカー・プロテスターズ「フリーダム・コンボイ」はカナダの変革者か? それともQアノン支持の陰謀論者か?」に書いたフリーダム・コンボイの背後関係ですが、その後も決定的なものは出てきていません。

 

 

next_vivanon

(残り 1159文字/全文: 3593文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ