「地球温暖化」よりも「気候変動」という呼称の方が適切—洪水と干ばつ/熱波と寒波-(松沢呉一)
日本の寒波、ヨーロッパの暴風雨
結局、東京では危惧されていたような大雪は降ってませんが、あちこちで大雪が続いていて、ところどころで観測史上最大の積雪量を記録しています。しかし、特別「異常」って感じではありません。異常かもしれないけど、よくある異常。徳島で積雪があったとのニュースには驚きましたが、これもたまにあるらしい。
ヨーロッパでも暴風雨が吹き荒れていて、ドイツのこの映像は怖い。
沈没しなかったからよかったようなもので、こんな時に旅している場合じゃねえだな。
英国の暴雨風も激しい。
ここ30年で最強の暴風雨。楽しんでいるようにしか見えない人たちもいますが、9名死亡しています。
前に書いたように、災害の規模は、死者数で判断する癖がついているのですが、3桁に達すると大災害になります。現在の日本やヨーロッパは取るに足らない。
マダガスカルでもブラジルでも死者数が100人を突破する大災害
先日取り上げたサイクロンBatsiraiによってマダガスカルでの死者は121人に。大災害。
ブラジルでも死者100人超え。大災害。
この中でも指摘されているように、ブラジルは昨年12月から、途切れることなく洪水や地すべりが起きています。「雨季はいつもこんなもん」ということもありつつ、昨年から今年にかけては異常。今までも数名の死者は出てましたが、今回の地すべりでは100人を超える死者が出ていて(2月18日現在117人)、日本でも大きく取り上げられています。
世界的な気候変動のひとつの現象でもあるのでしょうが、ブラジルの場合は熱帯雨林の急速な伐採と関係してそうです。合法的なものも違法なものもどっちも進行していますが、どうにも止まらない。山本リンダ状態。
木材を売り払い、地下資源を採掘し、空いた土地で牛や鶏を育てる。それで金儲けをしている人たちはやめるわけがない。「ブラジルは乱開発をやめろ」と言われたら、「そうも森林が大事だったら、おまえの国が工場や住宅を潰して森林にすればいい」と答えればいいだけ。先に森林を伐採した国は許されて、開発の遅れた国が我慢しなければならない道理はない。
これで何千何万という人が死んでも金儲けは止まらないでしょう。人類滅亡への行進も止まらない。
干ばつも洪水も増大する気候変動
マダガスカルでもブラジルでも洪水そのものの被害だけじゃなく、農作物への影響が大きそうです。
まだ安心はできる状態ではないながら、小麦の産地であるウクライナはロシアとの戦禍で農地が荒廃することを避けられたかもしれないですが、同じく小麦の産地であるスペインでも干ばつが進んでいます。
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