人類の最期に相応しく大イベントが目白押し—気候変動で韓国の原発も危なかった-(松沢呉一)
「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の会議で謝罪したもう一人の気象学者—絶望の度合いを強めるIPCCの報告書」の続きです。
韓国の原発にも火の手が迫る
ウクライナのチェルノブイリ原発もザポリージャ原発も極めて危険な状態にあって、世界は原発とプーチンの怖さをつくづく思い知っているわけですが、大統領選の話題がウクライナですっ飛んでしまった韓国でも原発に火の手が迫っていました。
こちらの映像の方が山火事の規模がわかりやすい。
山火事と言えば滅び行く人類の象徴でありますが、気候変動による熱波で夏の山火事が頻発しているのと同じく、寒いシーズンの山火事も気候変動によるものであることを韓国メディアが丁寧に解説してくれています。
なぜ韓国では冬の山火事が巨大化しているのか
今年は韓国で246件の山火事が発生。昨年同期の倍近くに達しています。平年でも毎月100を超えるくらいの山火事が発生するわけですが、その多くは広がらずに鎮火。しかし、今年は消火できずに火が拡大し、大規模化している点が異例。
それぞれの山火事の直接的な原因はタバコの火の不始末であったり、放火だったりするのですが(村の人々への腹いせに自宅へ放火したら山に広がったなんてケースもあります)、これらが山火事になり、拡大する背景にあるのは「冬干ばつ」です。
私は知らなかったですが、「春干ばつ」「秋干ばつ」など、日本語でも春夏秋冬と干ばつを組み合わせた言葉があるようです。
韓国では50年ぶりに降雨量が少ないために森林の乾燥が進み、これに強風が加わって被害が拡大し、森林だけでなく、民家も多数焼けています。
農作物への影響が少ないので、暑い季節に比して、寒い季節の干ばつはさほど話題にはならないですが、山火事という形で影響が出るんですね(ウクライナの気象学者スヴィトラーナ・クラコフスカのインタビューでも寒い季節の雨量減少について触れられてます)。
韓国では同時にいくつもの山火事が進行していて、そのひとつが慶尚北道蔚珍(ウルチン)郡の山火事で、ここにハヌル原子力発電所があります。原発ですから海沿いにあって、森林に囲まれているはずはないですが、大規模な山火事になると、酸素のある方向に熱風が抜けていくため、山側からの熱風が海に抜けて、原発が高温に晒される可能性はあるでしょう。
しかし、韓国でもこの件についてはここ数日触れられていないので、おそらく鎮火傾向にあって、危機は脱した模様です。
※2022年3月6日付「毎日経済(매일 경제)」 気候変動と山火事の関係についてはこの記事が詳しい。写真は焼けた民家と途方に暮れる住民
アフリカの角での干ばつで1,300万人が飢餓に瀕している
アフリカの角であるソマリアとエチオピアの一部、さらに隣接するケニアの一部では干ばつが深刻です。「干ばつ→山火事」ではなく、「干ばつ→飢餓」です。
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