ロシア人の7割以上はプーチンを支持し、ウクライナ侵攻を支持している—ロシアの世論調査より-(松沢呉一)

2022年03月10日 6時49分　
カテゴリ：インターネット • ウクライナ(Україна) • ウクライナ戦争 • メディア • ロシア(Российская Федерация) • 戦争
タグ : ウラジミール・プーチン(Владимир Владимирович Путин) • ロイター(REUTERS) • ヴツィオム(ВЦИОМ)

「ロシア軍は大義なき殺人団・モラルなき窃盗団—ウクライナ・メディアを読む」の続きです。

戦争が始まってロシア人のプーチン支持率は上昇して7割に達した

戦争に反対しているロシア人たちはしばしば「ロシア人は誰もこの戦争を望んでいない。これはプーチンの戦争だ」という言い方をします。現実にはそんなことはあるめえ。戦争を支持するロシア人もいっぱいいるはずです。とくに年配の人にとってのプーチンは絶対的な存在であり、インーネットを見ないため、プーチンの嘘に気づけない。

しかし、その割合がわからず、私はざっと半々くらいに頭の中では仮想していました。インターネットを見ない人たちは圧倒的にプーチン支持派が多く、インターネットを見る人たちは圧倒的にプーチン批判派が多い。全体を見ると、ざっと半々。

どこかにその数字が出ていないかと思っていたら、2022年3月9日付のロイター日本語版「ロシアでデモ参加者100人超拘束、フィンランド行き列車は連日満席」にこんな数字が出てました。

ウクライナ侵攻を巡り、ロシア国内と海外のメディアの報道姿勢は大きく異なっているが、多くのロシア国民は政府に好意的なメディアから情報を得ている。

ロシアの世論調査機関ＶＴｓＩＯＭによると、プーチン大統領の支持率は２月２７日までの１週間に６％ポイント上昇し、７０％となった。ロシア大統領府に調査結果を提供しているＦＯＭでも、大統領の支持率は同期間に７％ポイント上昇し７１％となった。

ＶＴｓＩＯＭという名称はただの製品記号みたいで落ち着きが悪いですが、キリル文字表記でВЦИОМです。Цは「ツ」の発音。ラテン文字に変換する場合は「C」を使うこともありますが、「C」はロシア語にもあるため、ここでは「Ts」にしています。日本語のローマ字の「TS」と同じ。

ヴツィオムはロシアの世論調査会社です。そこのサイトに以下のグラフが出てました。

一番上がプーチン。

侵攻が始まって以降の2月27日は1週間前に比べて、約6パーセントポイントを上げていますが、ロイターの記事の70パーセントよりも多く、73パーセントです(別の調査があるのかとも思ったのですが、これ以外に該当するものはない)。

ロシア人の7割以上がウクライナ侵攻に賛成

この設問は「誰を支持するか」を聞いているのではなく、それぞれの政治家に対して、「信頼できるか否か」を聞いています。通常、「誰を支持するか」であれば一人を選択するのに対して、この設問は全員に対して答えるようになっているため、数字が高くなりやすい。

そこに意図が感じられはしますが、そこに意図があるとするなら、その上、数字を操作する必要はなく、数字はこのまま受け取っていいでしょうし、「侵攻を支持するか」と聞いた時の回答と相当まで重なるのではなかろうか(この数字自体が操作されたものだとの指摘もありますが、操作された数字であることの根拠がないので、ここではこれがロシア全体の意識を反映したものだと仮定しておきます)。

ウクライナ侵攻についての世論調査もあるのではないかと探してみたら、ありました。

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