強制連行されたマリウポリの住民はどこへ?—いよいよナチス的本性を露わにしつつあるロシア-(松沢呉一)
「ロシア軍将官の5人目が死にました—情報戦・ドローン戦ではウクライナが圧勝、民間人の無差別殺戮ではロシア軍の独擅場」の続きです。
数千人のマリウポリの住民がロシア軍に拉致され、行方がわからない
ロシア軍がさらに本性を露わにしたかもしれない。
この話はウクライナ・メディアで読んでました。
2022年3月19日付「УКРІНФОРМ」
タイトルは「強制避難。それは第三帝国とロシアを結びつける」という意味。第三帝国は言うまでもなくナチスドイツ。
マリウポリの混迷
マリウポリはもともとロシア系住民と反ロシア系住民との対立が強い場所で、アゾフ連隊が誕生した町でもあります。反ロシア感情を背景にして必然的に生まれたと言っていいでしょう。だからといって、反ボリシェビキであったナチスに接近しなくていいのですが、「敵の敵は味方」論です。民族主義がそれほどは強くないだけで、ナチスに類似する全体主義国家ロシアに対抗するネオナチ色の強いアゾフ連隊という構図。
この対立をもとに、ロシアはウクライナ全体をネオナチ国家と認定して、破壊の対象をウクライナ全土に拡大し、殺戮の対象をウクライナ国民全体に拡大しました。
ここまでを押さえていただくと、ロシアがネオナチから守るためと称して強制避難という名の拉致をした住民がどうなるのか気にならないわけがない。
この記事ではモスクワの北東220キロのところにあるヤロスラブリ州ロストフに連れていかれた女性の証言を紹介しています。彼女は避難を望んでいなかったのですから、拉致です。
マリウポリからロストフまでは800キロくらいありそうです。日本で言えば東京から広島くらいの距離ですから、それなりの交通費を持っていないと移動できない。
彼女は金を持っていたため、モスクワに逃げ、イスタンブールに脱出し、現在西ヨーロッパに住んでいますが、逃げなかったどうなっていたのかわからず、大多数の人は逃げられないのです。
(残り 1448文字/全文: 2382文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ