松沢呉一のビバノン・ライフ

マリーナ・オヴシャンニコワを追うように特派員やキャスターがチャンネル1を続々退社—ロシア政府高官も辞任して国外へ-(松沢呉一)

このペースで戦傷・戦死していくと、ロシア兵はいつ地上から消えるか—類稀なロシア軍の損害」の続きです。

 

 

ロシアの「リベラル派」高官が辞任、国外へ

 

vivanon_sentence2020年にプーチンに大統領特別代表に指名されていたアナトリー・チュバイスが辞任し、すでに国外に出た模様。

 

2022年3月23日付「日本経済新聞

 

アナトリー・チュバイスはエリツィン政権の大統領府長官および第一副首相兼財務大臣。反プーチン派オリガルヒの長でもあって、2020年になってプーチンが大統領特別代表に指名したのは反対勢力の取り込みであり、対立の緩和でしょう。

ウクライナ侵攻にも反対で、今回の辞任自体が抗議と見なされています。

辞任したことが明らかになった時点ではすでに国外に出ていたと思われるのは、他にも理由があるかもしれないけれど、自分の命の確保じゃないでしょうか。

ロシアの高官、オルガルヒの長でありますから、相当にダーティなこともやってきていて、ロシアの絶望的な貧富の差を作り出した当事者として敵も多く、暗殺されかかったこともあります。

これを取り込んでおいた方がいいとプーチンが考えたのはもっともであり、辞任したとあってはすでに用なし、むしろ知りすぎた人物として消した方がいいと考えるかもしれない。

「逃げるな。プーチンの懐に留まって抵抗しろ」という意見もありましょうけど、抵抗した末に匙を投げたんじゃないですかね。これ以上やると消される。ここに至ると、いかに抵抗していたとしても、プーチンの協力者と見なされて、もろともに沈没するしかなくなりますから、その前に脱出したってところか。

たしかに反対派が消えると、いよいよ暴走に拍車がかかりますから危険です。しかし、反対派が内部にいるからと安心を広げてしまうとも言えて、はっきりとした答えなんてない。

い続けたらい続けたで責任を問われるし、辞任したら辞任したで「逃げた」と言われる。どっちに転んでも因縁屋は文句をつけてくるのです。そんな意見に耳を貸すのは時間の無駄、あとは国外でプーチンの悪行をすべてばらして欲しいけれど、そうすっと自分の悪行もばらされるので、黙っているのが賢明か。

日本にいるロシア人YouTuberたちはおおむね戦争反対の意思表示をしていますから、もはやプーチンの敵。祖国を見捨てて、帰化を決意した人が次々と出てきています。ロシア人でい続ければ責任を問われ、帰化したら「逃げた」と言われる構図はここにもありそうですが、誰にでも通用する正解なんてないので、自分の決定を信じればいいと思います。

※2005年3月17日付「NBC NEWS」 暗殺されかかった時の報道。

 

 

続々ロシアから脱出するジャーナリストたち

 

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チャンネル1で決起したマリーナ・オヴシャンニコワの行動がもたらしたものは大きくて、社員ジャーナリストたちが続々チャンネル1を退社していることは「戦死者数・市民の虐殺数・ナチス度・衣装代のどれをとってもゼレンスキーよりプーチンの勝ち—逃げて闘うのもまた尊い」で軽く触れましたが、本人たちが国外で発言を開始しているので、どういう人たちなのか確認してみましょう。

 

 

ザンナ・アガラコワ(この動画では「アガラコバ」)は退社して国外に出たのではなく、もともと特派員として国外にいたようで、そのまま退社してロシア批判を続けています。特派員ではこれ以外でも退社した人がいるようです。

また、ニュース番組のメインキャスターであったリリア・ギルデエワ(Лилия Гильдеева)も退社。

退社後、子どもとトルコに移住したリリア・ギルデエワのインタビューです。

 

 

 

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