ロシアの戦艦が沈没。それでも戦争は続く—「どうしたら終わるのか」と銭湯で言っていたじいちゃんに回答する-(松沢呉一)
「マリーナ・オヴシャンニコワを追うように特派員やキャスターがチャンネル1を続々退社—ロシア政府高官も辞任して国外へ」の続きです。
ロシアの揚陸艦オルスク号、沈没
最近、早い時間の銭湯に行ってなかったので、じいちゃんたちの世間話を盗み聞くことがなかったのですが、昨日、ひさしぶりに聞きました。遅めの夜だったんですけどね。
ちょっと距離があったので、細かなところは聞き取れませんでしたが、話題はウクライナです。えれえ怒っているじいちゃんがいまして、とくにロシアが核兵器の使用もあり得ると言っていることが許せない様子です。
怒るのは当然。核兵器は抑止力として機能してきたはずの兵器であり、核兵器を持たない相手を直接に脅す道具として使用したケースって今まであるんですかね。いかにルールを作っても、ルールを守らないのが出てきた時にどうしたらいいのか。今回はそれが問われています。
じいちゃんも最後は「どうしたら戦争は終わるんだろう」と困り果てていて、どうしたらいいのか誰もわからん。
家に帰ったら、こんな速報が。
ロシアが支配しているウクライナ南東部、アゾフ海沿岸に位置するベルジャンシク港に停泊していたロシアの揚陸艦オルスク号が大炎上。
以下の映像がもっともわかりやすいか。
このあと、オルスク号は沈没し、他二隻も損傷したとのことです。
これら遠景の映像しかなく。細かなところは確認できないですが、以下の映像で、逃げていく二隻のうち、少なくとも一隻は火を出しているのが確認できます。
前半は国営テレビが、ベルジャンシクに入港したオルスク号を誇らしげに紹介している映像だと思います。
この映像でもわかるように、オルスク号はおもに戦車を上陸させるのが役割で、ロシアが支配して最初にベルジャンシク港に入港したのがオルスク号だそうです。その任務は終えていたでしょうから、すでに戦車を積んでないでしょうけど、あの爆発ですから、人的な被害も出ていそうです。
またもロシアは大きな損害を蒙りましたが、その一方で、ウクライナ人の死者も増え続けています。
どうやったら戦争は終わるのか
ロシア軍の戦死者1万人という数字は信憑性が薄いとしても、連日3桁の戦死者が出ていることは間違いなさそうで、ウクライナへの侵攻はロシアにとってもマイナスだったことは明らかですから、もうやめた方がいいでしょ。
つってもプーチンはやめない。すぐそこまで赤軍や英米軍が迫ってきてやっと死を覚悟したヒトラーと同じタイプですから(それでも自決をしないため、側近たちが殺害して自決に偽装したというのがヒュー・トマスの主張です)、自分の判断ではやめない。
では、ウクライナ軍はクレムリンまで進撃していかなければならないのか? それはないとして、他にどんな終結があるのでしょうか。
数十万という人々が立ち上がってクレムリンを囲い、警備との銃撃戦の末、内部に乱入して、プーチンのクビを吊って晒す。革命方式です。
通常はそこに至る前に海外逃亡か。
しかし、路上での行動は完全に抑えこまれていますから、警察までが民衆の側に立って蜂起するようなことがない限り、このパターンはなさそうです。
となると、暗殺か。しかし、プーチンはすでにこれを察知しているようで、あまり人前に出ないようにしているらしい。末期のヒトラーです。
こうなると、殺せるのは、信頼されている部下だけです。ドイツでは、国軍の中で繰り返し暗殺計画、クーデター計画が立てられていましたが、実行されたのは1944年7月20日。それも失敗しますが、なぜそれまで実行されなかったかと言えば国民がヒトラーを支持していたからです。
国民の支持しない暗殺を実行しても、ヒムラーやゲーリングがヒトラーに成り代わるだけで、暗殺の実行犯やそのグループは全員処刑され、独裁体制は維持され、ユダヤ人やジプシーは殺され続けます。
それらの腹心たちもすべて殺してクーデターを起こしても、国民の支持がなければ再度クーデターが起こされたり、内戦になったりします。ミャンマーがいい例です。
70パーセント、80パーセントという数字はともあれ、大半の国民がプーチンを支持している中で、軍による暗殺やクーデターは難しい。
※ありし日のオルスク号(ウクライナ軍のFacebookより)
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