松沢呉一のビバノン・ライフ

ベラルーシを通過するロシア軍を阻止するための鉄道戦争に、サイバー・パルチザンとBYPOLが関与—ベラルーシの民主化闘争は終わっていない-(松沢呉一)

ロシア軍と戦うベラルーシ人たち—義勇兵とサイバー・パルチザン」の続きです。

 

 

対ナチスだった鉄道戦争が、ロシアを相手に復活

 

vivanon_sentenceウクライナIT軍は、ロシア軍がロシア内で移動する際の妨害工作をやっているようです。

今はコンピュータで制御している部分が多く、ハッキングによって信号のプログラムを破壊するだけで鉄道網は麻痺して、マニュアルに切り替えてもすぐには対応できないでしょう。

第一次鉄道戦争は、1943年、ナチスの支配下にあったベラルーシとウクライナで、共産党が主導して始まります。信号の破壊、鉄橋の爆破、駅の破壊などによってドイツ軍の移動を妨害し、ドイツ兵3万人が死亡したとされています。

そして、今回ウクライナ戦争にリンクして、第二次鉄道戦争がベラルーシで勃発しています。

第一次では鉄道戦争を仕掛ける側だったソビエトですが、第二次ではソビエトを継承するロシアが仕掛けられる側になりました。今はロシアがナチスの役割。同じようなもんですから。

Wikipediaより、1942年の鉄道戦争の成果。軍用車を輸送する列車が転覆しています

 

 

ベラルーシではサイバー・バルチザンらが鉄道戦争を仕掛けている

 

vivanon_sentenceベラルーシでは、サイバー・パルチザンが国有ベラルーシ鉄道のコンピュータ内に入り込んで一部を破壊し、一部を暗号化したと公表し、政治犯を開放せよと要求。要求を飲まないと鉄道網を麻痺させると予告。

これは1月のことで、ロシアがウクライナに侵攻すべくロシア軍を国境近くに集結させていたことを踏まえて、ベラルーシの領地をロシア軍に利用させていることに対する抗議でもありました。

政府はこれを無視し、1ヶ月後の2月下旬、ロシアのウクライナ侵攻が始まると、サイバー・バルチザンは再度ハッキングし、ベラルーシ鉄道はオンラインでのチケット販売ができなくなり、すべて手作業に切り替えて、復旧に2週間かかりました。

サイバー・パルチザンは、ウクライナIT軍ともアノニマスとも連帯しているため、これ以上、ベラルーシ政府がウクライナ戦争に踏み込むと、これらのハッカー集団を敵にすることになります。ロシアでも手こずっているのに、ベラルーシでは対処できなくなって、政府の内部資料もすべて公開され、鉄道戦争が激化しそうです。

※2022年1月25日付「The Guardian」 サイバー・パルチザンの工作について報じる記事

 

 

サイバー・パルチザンとBYPOL

 

vivanon_sentenceサイバー・パルチザンは、BYPOL(バイポル)とも連携しています。

BYPOLは2020年10月、民主化闘争が沈静化したあとに発足。しばしば元警察官の団体とされていますが、正確には広く法執行機関の元職員と現職員数百名からなる組織で、BYPOLのサイトには法執行機関として警察、警察を管轄する内務省、国家保安委員会(日本の公安委員会みたいなものか)、軍隊、検察などを挙げています。

彼らは民主主義を掲げ、ベラルーシの法秩序を取り戻すことを目的とし、正当な選挙に選ばれていないルカシェンコを大統領と認めていません。

 

 

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