抵抗を続けるロシア人たち—「ノーヴァヤ・ガゼータ」「ブチャ-モスクワ」「ロシア自由軍」など-(松沢呉一)
「ウクライナ軍のロシア軍捕虜殺害映像か?—ロシア軍の民間人虐殺に匹敵はしないけれども、事実であればウクライナ軍の戦争犯罪」の続きです。
ロシア脱出組が「ノーヴァヤ・ガゼータ ヨーロッパ」を立ち上げた!
昨年ノーベル平和賞を受賞したドミトリー・ムラトフ編集長の「ノーヴァヤ・ガゼータ」は活動停止に追い込まれ、国外に脱出したスタッフも多いのですが、国外脱出組が新たに「ノーヴァヤ・ガゼータ ヨーロッパ」をスタート。まだサイトは出来ていないようですが、SNSのアカウントは勢い良くスタートしています。
「ノーヴァヤ・ガゼータ ヨーロッパ」はロシアの本家「ノーヴァヤ・ガゼータ」とは無関係の独立したメディアであり、スタッフも一人として重ならないと言っていて、その突き放したトーンから「喧嘩でもしたんか」と思えたりもしますが、ロシアでは国外での発言も国内法で取り締まれるようになったためのガードではなかろうか。関係があるとなると、ロシアに残ったドミトリー・ムラトフ編集長らが捕まりかねません。ホントにひどい国ですよ。
「ノーヴァヤ・ガゼータ ヨーロッパ」は新拠点がどこかも今のところ公表してません。国外でも毒薬を盛られたりしますので、これもガードのためかもしれない。
ノーベル平和賞受賞者はペンキだらけ
ロシアに残ったドミトリー・ムラトフ編集長はこんな目に。
政府に楯突く者に塗料やら洗剤やらをかけるのはロシア流。プッシー・ライオットのナディアもやられてました。
こういう場合の犯人は捕まらないか、捕まっても無罪放免、あるいは微罪。時には警察がやらせているのではないかとも疑えます。殺人までも。
しかし、見ようによっては、ウクライナで血まみれになって死んでいった人々への弔いのようにとらえられなくもない。
ちょっと前に、ロシアのウクライナ侵攻を批判して、血にまみれた姿でパフォーマンスをやって連行されたアーティストがいました。
私の心は出血している。
「ブチャ-モスクワ」
今現在はこんな表現が行われています。
2022年4月5日付「FLOT 2017」
はっきりとはわからなかったのですが、「FLOT 2017」はクリミア拠点のウクライナ・メディア(ロシア政府の広報誌ではない)かと思われます。
今回はブチャ虐殺で殺された人を模して、頭を袋で覆い、後ろ手に縛られて、モスクワ各所で写真を撮っていて、アートの冠はつけていないと思います。
こういう表現をやらないではいられない人たちに強く共感してしまいます。この記事では、彼を「戦士(воин)」と表現しています。抵抗戦士です。こんなことをしてもプーチンに勝てない。でも、やらないではいられない。逮捕されるかもしれない。でも、やらないではいられない。殺されるかもしれない。でも、やらないではいられない。
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