松沢呉一のビバノン・ライフ

プッシー・ライオットのルシア・シュタインも脱国か?—ロシア人でいることの辛さを少しでも軽減させたい-(松沢呉一)

抵抗を続けるロシア人たち—「ノーヴァヤ・カゼータ」「ブチャ-モスクワ」「ロシア自由軍」など」の続きです。

 

 

 プッシー・ライオットの抵抗

 

vivanon_sentence前回を出した直後に、スマホでまた「メデューザ」を読んでいたら、「プッシー・ライオットのメンバーが、位置確認のブレスレットを切って国外に逃亡か」という記事が出ていました。

チャンネル1のマリーナ・オブシャンニコワさんもつけられているのではないかと思われますが、ロシアでは容疑者が勝手に移動できないように発信機つきのブレスレットをつけられます(足首につけるので「アンクレット」ですが、足首につけてもブレスレットでいいらしいので、、原文通り「ブレスレット」にしておきます)。長期拘留されることに比べればましかもしれないけれど、全行動を把握されてしまいます。

国内に残っているプッシー・ライオットのメマリア・アリョーヒナルシア・シュタインは、昨年1月、ナワルニーの解放を求めるデモに参加して逮捕され、現在裁判中。そのため、ブレスレットをつけられていたのですが、昨日、ほとんど同時に両者ともこれを切断。

※2021年1月24日付「tass」 マリアが逮捕された時のタス通信。タス通信もプッシー・ライオット関連は報道するんですね。無視かと思ってました。

 

 

ロシアとの関係を断ち切る

 

vivanon_sentence以下はルシア・シュタインのツイート。

 

 

このツイートで彼女はロシアとの関係を断ち切るとしていることから国外に逃げたのだろうと思われるのですが、現在どこにいるか不明。

マリア・アヒョーヒナは最初から捕まるつもりで、もう捕まっているはず。

彼女らは逮捕されたアレクセイ・ナワルニー解放を求めるデモで、車を警官にぶつけたとされます。軽くかすった程度でしょうが、懲役2年くらいになるのではないかと目されていました。

また、前に軽く触れたように、マリア・アリョーヒナはロシアがウクライナに侵攻して以降、1ヶ月以上不法拘留されていたとのことです。結局、ブレスレットでは足りず、拘留もされているわけです。彼女はこの時期に何かするだろうと見なされて、予防拘禁されたのではなかろうか。

今回のことで実刑は免れないし、加算もされそうです。彼女は何度捕まり、何度入獄していることやら。不屈です。

で、ルシア・シュタインが国外に逃げたとして、ロシア人ということでAirbnbを利用できないのは不当でしょ。ホテルに泊まればいいのだけれど、逃亡中はAirbnbの方が目立たなくていいってこともあるわけで。果敢にロシア政府と闘っている人に対してひどい仕打ちですよ。

プッシー・ライオットのTwitterアカウントよりルシア・シュタイン。彼女は初期メンバーではないのでよく知らない。

 

 

国外でプーチンの批判、戦争の否定をしてもロシア人は捕まる可能性がある

 

vivanon_sentenceここまでにも多数例を出してきましたが、日本でも抵抗しているロシア人がいます。

以下に出てくるロシア人の気持ちになると辛い。

 

 

 

彼女は永住権があるのか帰化しているのでしょうけど、ロシアにいる人は発言ができない。

自分は一人の人間として生きてきたつもりでも、どうしようもなく国はついてきます。その国がヒトラーなみの非道な独裁者に支配され、上層部はその独裁者に媚びて平気で嘘をつきつづける様を見た時に、ウクライナ人に対する申し訳なさに襲われて、追悼集会に来ないではいられなかったのでしょう。その場ではいよいよロシア人であることが自分に刻まれて、ロシア人であることの恥ずかしさや悔しさに苛まれる。それでもきっといつかはロシアも…と未来を見ようとしています。

最近、私は毎日泣いてますが、この動画でも泣きました。

 

 

next_vivanon

(残り 1218文字/全文: 2906文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ