放射性物質で暗殺された元FSB職員—犯罪組織FSB(ロシア連邦保安局)[上]-(松沢呉一)
「モスクワ・バーニング/ロシアのせいで値上げラッシュ/大鵬の父親はウクライナ人—ここまでの補足や追記」の続きです。
邪魔な人間は殺せばいい
虐殺を批判されて、慌てて「フェイクだ」と思いつきで反論したものの、衛星の画像やドローンの映像をつきつけられて逃げ場をなくし、ついには「虐殺して何が悪い」ってか。
これこそがプーチン。実際、この人はウクライナ人の命もロシア人の命もなんとも思ってないっしょ。嘘をつくことにもなんら痛みを感じない。それを嘘だと指摘するのがいたら殺せばいい。
もともとそういう人。これまではまだしもそれをバレないようにしていたと思うのだけれど、そんな小細工をする気もなくなったようです。アホのロシア国民はそれでもついてきますから。ついて来ないのは殺せばいい。
ご存知の方も多いでしょうが、プーチンの人殺しは今に始まったことではないことを確認しておきます。
放射性物質で殺されたアレクサンドル・リトヴィネンコ
ロシア軍という名の窃盗団がチョルノービリ原発から盗んでいった放射性物質を何に使うつもりなのか不明ですが、ロシアの場合は暗殺に使う可能性があります。
FSBの職員であったアレクサンドル・リトヴィネンコのドキュメンタリーです。
リトヴィネンコはFSBに在籍していた1998年、FSBの幹部らは依頼を受けての殺人を請け負ったり、麻薬に関わるなどの組織犯罪に手を染めていることを知って告発します。当時のFSB長官はプーチンでした。
しかし、それらの不正は是正されることはなく、かえって彼はFSBからつけ狙われます。1999年、心当たりのない容疑で逮捕されて無罪に。無罪になるや否やまた別の容疑で逮捕され、三度連続で逮捕されて、すべて無罪。
2000年に英国に亡命。本人不在のまま、ロシアでは4度目の刑事訴訟がなされて、今度は有罪に。本人が証言できないのですから、有罪にするのも可能。
おそらくこれは彼が英国でさまざまな告発をするであろうことを見込んで、「あいつは犯罪者であり、それをごまかすために虚偽の告発をしている」と、発言の信憑性を落としたかったのだと思われます。
なんでもありの国。
※アレクサンドル・リトヴィネンコ著『ロシア闇の戦争―プーチンと秘密警察の恐るべきテロ工作を暴く』
高層アパート連続爆破事件の真相
2002年、英国でリトヴィネンコは『Blowing Up Russia: Terror from Within』 を著しています(ロシア系米人ユーリ・フェルシンスキーらとの共著。邦題は『ロシア闇の戦争―プーチンと秘密警察の恐るべきテロ工作を暴く』)。
ここで彼は「1999年にモスクワなどロシア国内3都市で発生し、300人近い死者を出したロシア高層アパート連続爆破事件は、チェチェン独立派武装勢力のテロとされたが、 第2次チェチェン侵攻の口実を得ようとしていたプーチンが仕組んだ偽装テロだった」と告発。
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