プーチン体制に異を唱えるロシア人の動きが活発化—オリガルヒから火炎瓶まで-(松沢呉一)
「ナチスのことを知りもしないのに「非ナチ化」としてウクライナに侵攻したナチスもどきの糞ロシア—ヒトラー・ユダヤ人説に根拠なし」の続きです。
オレグ・ティンコフはロシアと決別宣言
ただちにプーチン政権の崩壊につながるわけではないけれども、ロシア国内での抵抗が新たなステージに入ったようにも見えます。
前々回ついでのように書いたオレグ・ティンコフですが、あれを書いた段階では、ティンコフのInstagramまでは見てませんでした。
以下です。
「ロシアの兵士とウクライナの住民の血で汚したくない」「私はすべてを失いましたが、魂は失っていない」「民間人や子どもを殺している国でお金を稼ぐわけにはいかない」
白血病であるがゆえに、自分の人生を見据えて、プーチンと闘うかも。経済制裁で目減りしたとは言え、まだまだ金はありますし。
またひとりロシアでは謎の死を遂げた富豪がいて、自殺なのか自殺に見せかけたのかもわからんですけど、経済制裁で資金繰りに困り果てて自殺することもありそうです。その点、オレグ・ティンコフは会社も追われて、雑念なく治療と闘いに専念しやすいでしょう。
モスクワ市内で火炎瓶炸裂
今週月曜日にモスクワで、警察のバスに火炎瓶を投げて捕まったのがいます。
2022年5月3日付「ren.TV」
こういうプロテストは政権側が弾圧を強める口実として自ら仕掛けることがありますが、プーチン政権がそれをやるとしたら、チェチェン紛争の時のように、100人くらい人が死ぬことをやるはずで、火炎瓶ひとつ投げただけで、人が死んでいないんだったら本物のプロテストです。
投げた人は捕まっていて、反戦集会を主催したことのある人物だとのこと。合法の抵抗手段を奪われたら、次は違法なことをやるしかないという流れの典型。こうするしかなかったことは十分理解します。
ウクライナの人々はロシア侵攻が始まって、火炎瓶を用意していると伝えられていて、一部、戦車に火炎瓶が投げつけられた例があったにせよ、んなもんで戦車に勝てるはずがない。
対して、ロシア国内で戦争反対の意思として火炎瓶が使用されたのはこれが初ではなかろうか。これだけでは勝てないですけど、景気付けですよ。
5月4日には、チュメニ州ハンティ・マンシ自治管区の都市ニジネヴァルトフスクにある軍事入隊事務所に火炎瓶が2本投げつけられました(こちらの記事参照)。すぐにやってきた警察によって火は消し止められていて、犯人は捕まってませんが、兵隊を集めるオフィスですから、意図は明確です。警察車両への火炎瓶投擲の2日後であり、同じグループか、どこかで呼びかけがなされていて両者ともそれに呼応したのか、前者の行動にインスパイアされたのか、たまたまなのか。
どれにしても、何か動き始めているように思えます。
(残り 1434文字/全文: 2689文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ