ユーロヴィジョン2022はウクライナ代表カルッシュ・オーケストラが優勝—これでよかったのかな-(松沢呉一)
ユーロヴィジョン2022のグランドファイナル
ユーロヴィジョンのグランドファイナルを朝まで観てました。
「ウクライナ代表は優勝するなよ」とずっと思っていたのに、優勝しやがってよ。ガックリだわ。
ウクライナ代表のカルッシュ・オーケストラが嫌いなわけではないんですよ。むしろ好き。
カルッシュはウクライナ西部の町の名前です。
ユーロヴィジョンはソングコンテストって謳っているだけあって、さまざまあるポイントの中で歌の力を高く評価する場です。うまいのはもちろんのことながら、そこに表現力だったり、オリジナリティだったり、ポピュラリティだったりがあるミュージシャンが強い。
通常の私の好き嫌いの基準とは違うので、ユーロヴィジョンを観る時は、好き嫌いを捨てて歌の力だけを観るようにしています。その中でも好き嫌いは出てくるんですけどね。
この視点において、カルッシュ・オーゲストラは弱い。もし彼らが優勝するとしたら、同情票、ロシアに負けるな票、プーチンぶち殺せ票が混じってきた結果です。そこは私も共有するのですけど、だからといってここにその感情を持ち込むべきではないとの思いがどうしても生じます。
ロシア代表がいてもいいのに
この思いは、今年はロシア代表が出られなかったところから始まってます。ロシアがウクライナに侵攻して1日か2日でロシアの出場資格剥奪が決定しました。オリンピックのように、ロシア代表としては出られず、個人として出るという方法はユーロヴィジョンではとれなかったのでしょう。国家対抗歌合戦ですから。
しかし、スポーツ選手以上にプーチン支持のミュージシャンはロシアでも少ないと思うのですよ。ロシア代表がプーチン支持、戦争支持だとしたら、出場させないという判断はあっていいかもしれないけれど、そういうわけではない。ノグ・スヴェロ!が代表だとしても、ロシアのミュージシャンは出場不可っておかしいべ。
現に去年のユーロヴィジョンでロシア代表だったマニジャはインスタグラムでロシアのウクライナ侵攻に反対を表明しています。
この人。
彼女は慈善活動にも活発で、LGBTコミュニティ支援活動もやっています。ロシアでこの活動をやるのは相当に困難であることは今まで何度も書いてきた通り。
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