松沢呉一のビバノン・ライフ

ロシアのインターネット普及率は日本と変わらないのに、なぜ情報源がテレビしかないと言われてしまうのか—全体主義体制における賢い生き方[3]-(松沢呉一)

ウクライナの義勇兵になろうとして捕まったロシア人青年—全体主義体制における賢い生き方[2]」の続きです。

 

 

ユーリ・シェフチェクの戦争批判

 

vivanon_sentence一昨日5月18日のコンサートで、バンドDDTのリーダーであるユーリ・シェフチェクはウクライナ戦争を批判して喝采を浴びました。

 

 

ユーリ・シェフチェクは1957年生。ロシアの詩人、ミュージシャンです。

政治的発言の多い人で、そのためにコンサートも自由にはできなくなっています。ロシアのクリミア半島侵攻にも反対し、ベラルーシの民主化運動も支持。

2月24日、ロシアの侵攻が始まるや否や批判。

今回のコンサートでの発言も警察は予期していたのか、すぐさま楽屋で取り調べ。このあと逮捕されるのではないかと目されています。

これに対してはノグ・スヴェロ!のフロントマンであるマキシム・ポクロフスキーが賛意を表明しています。

 

 

 

 

44歳未満のロシア人のインターネット普及率は9割以上

 

vivanon_sentenceユーリ・シェフチェクが言っているのは「なぜウクライナで人が殺されているのか」という問いかけですよ。だから、やめろってことですが、なんでこれだけで取り調べられ、逮捕されなければならないのか。

この国家の異常さは「多くの国民はテレビの情報しか見られない」というところに原因を求められがちですが、本当か?

2020年の調査で、44歳未満のロシア人のインターネット普及率は9割を超えています。

 

 

2021年1月12日付「MEDIA SCOPE」より

 

55歳以上になると、5割を切りますが、それでも「大半の人がテレビでしか情報を得られない」なんてことはないのです。

 

 

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