見ないようにしてきた新型コロナのふたつのリスク—ネコからヒトへの感染が確認された-(松沢呉一)
タイでネコからヒトへの感染が確認された
コロナ騒動が終わりかけている今になって「見ないようにしてきたこと」がダブルで浮上。
タイでの報道によると(その元ネタは米国の報道ですが)、この感染自体は昨年8月のものです。飼い主が感染したことから、飼い猫にも感染しているのではないかと疑った獣医師がネコを検査したところ、感染が確認されました。
日本で同様のケースがあっても、ペットまで調べないと思いますが、ペットの感染についてはタイでは獣医師や研究者が積極的に調べていて、イヌもネコも感染している例が以前から報告されています。
その検査をした獣医師も新型コロナに感染し、他に心当たりがないため、ネコからの感染が疑われて、遺伝子までを調べたところ同じだったため、ネコからの感染だとほぼ確定し、検査の際に獣医はマスクをしていたので、目からの感染だろうと推測されています。
これを今月になってプリンス・オブ・ソンクラー大学の研究者が報告し、米メディアで話題になったという経緯です。ソンクラー大学は医療分野の研究で知られる国立大学です。
※2022年6月20日付「Thai PBS NEWS」 この写真のネコは感染したネコとは無関係だと思われます。
家畜からの感染は報告されていたが、ペットからの感染が確認されたのはこれが初
ここで「見ないようにしてきたこと」のひとつは「ペットからの感染」です。
厚労省の説明では「新型コロナウイルスがペットから人に感染した事例は報告されていません」ということですが、よくよく読むとわかるように、ネコが感染した例は少なくなく、ネコからネコの感染もあり得ることが確認されています。また、ミンクではヒトへの感染事例もあります。
ミンクは新型コロナへの感受性が高い、つまり感染しやすいってことらしいのですが、その上、狭いところで多くを飼うためにミンク間感染もしやすく、そこに出入りするヒトにも感染しやすいようです。
しかし、ネコも感染例も多いことから、ネコからヒトへの感染も条件が整えばあり得ることは容易に推測できて、それが今回タイで初めて確認されたわけです。初めて起きたのではなく、今まではなかったことにされてきただけだと見るべきでしょう。
この厚労省の説明ページは米CDCを参照にしているのではないかと思われますが、そちらでは感染が確認された種類が詳しく出ていて、イヌ、ネコ、ハムスター、フェレット、ミンクなどが挙げられていて、動物園ではライオンやトラなど大型のネコ科の動物やカバ、ハイエナ、マナティーなども感染。
しかしながら、米CDCでも動物から人間への感染はリスクが低いということになっています。
※厚労省のサイトより「動物を飼育する方向けQ&A」
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