松沢呉一のビバノン・ライフ

気温の上昇によって生起すること—熱中症・感染症・火災・犯罪-(松沢呉一)

 

渋谷のマスク率

 

vivanon_sentence一昨日、渋谷でマスク率をカウントしたら、「完全ノーマスク+顎マスク」で、毎回1割を超えていて、2割を超えた回もありました。「午後4時台から5時台だったため、帰宅する勤め人がまだ少なかった」「若い世代が多かった」「とにかく暑かった」というみっつの理由が考えられますが、それでも圧倒的多数はマスクをピッチリしてました。

マスクをすることで熱中症の発症率は高まりましょうけど、マスクを外しても倒れる人は倒れますから、したい人はすればいいんでねえか。

気温の上昇によって感染症が発生しやすくなり、死亡率も高まりますから、熱中症の死者ばかり気にしてもしゃあない。調べてないですが、感染症以外でも気温の上昇と死亡率が相関関係にある病気はあるはずです。どうやっても気温が上がると人が死ぬのです。いちいち気にしてらんない。

昨日はまた伊勢崎で40度。しかし、北海道の一部では洪水。洪水の規模は小さいですが、同じ国内で熱波と洪水がペアでやってくるのは気候変動らしい現象です。

以下は6月18日から24日までの世界の自然災害。

 

 

1週間単位で映像をまとめるチャンネルはいくつかありますが、どんどん長くなってきているように思います。自然災害はつねにどこかで起きているわけですから、細かく拾えば長くなるのは当然ですが、たとえば「死者が出るくらいの洪水」といった基準でカウントしても、数が増えているのではなかろうか。

ロシアでは相変わらずシベリアでの山火事が続いていますし、ソチは洪水で死者が出ています。ソチの洪水は以前から繰り返されてきたものではありますが、発生頻度が上がっていて、黒海の水温上昇によるものだとされています。「ロシアは温暖化で得をする」なんて論では済まないと思うんですけどね。

 

 

戦争している場合ではないのに

 

vivanon_sentence前から指摘しているように、気候変動が背景にあると思われる現象が起きていても、そのことに触れない報道が日本では多いように思います。たしかに、特定の気象現象をとらえて、どこまでなんなのかを確定させることは難しいので、はっきりと断定することはできないですが、その可能性があることくらいは指摘しておかないと危機感が高まりません。

しかし、さすがに今の熱波は報道の姿勢を少し変えているようにも感じます。遅えよ。

以下も可能性を示唆するに留めつつ、今世界がどういう状況になっていて、いよいよ絶望的な状況に突入していることを見せています。

 

 

ここにあるように、地中海沿岸は昨年より早く気温が上昇して、山火事が頻発しています。ここに出ているフランスやスペインだけでなく、イタリア北部での干ばつがひどい。

あとはやっぱり中国です。南部の洪水は昨年を超えていそうで、農作物が壊滅。中国はロシアから安く買えるので、農作物の確保は容易ですが。

当局発表で死者は二桁ということになってますが、数千人が亡くなっている、さらには数万人が亡くなっているとも指摘されています。昨年同様、予告なくダムが放水し、トンネルに多数の車が閉じ込められていて、これだけでも三桁死んでいそうです。昨年は人数のごまかしがあったことを認めて、処分者が出ていたはずですが、なんも変わらん。

そういう国ですから知ったことではないですが、中国の気象がそのまま日本に反映されそうなのが怖い。

 

 

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