松沢呉一のビバノン・ライフ

ロシアから脱出したLittle BIGとロシアで捕まったブリトニー・グリナー—行く人・来る人-(松沢呉一)

 

 

Little BIGの「GENERATION CANCELLATION

 

vivanon_sentence無料記事を連発していると、有料購読者に申し訳がないので、通常の記事も出しておきます。

ウクライナ関係は読む人が激減してしまってますが、以下のMVは見ておいていいかと思います。「要友紀子の全国風俗街キャラバン」と並ぶ推薦動画。

 

 

私は全然知らなかったのですが、Little BIGはロシア国内外で絶大な人気のあるバンドなんですね(Little BIGの表記もLITTLE BIGの表記もどちらも使用されていますが、ここではLittle BIGに統一します)。

Little BIGは2013年にサンクトペテルブルクで結成され、2020年にはロシア代表としてユーロヴィジョンに出場予定だったのに、新型コロナで大会は中止に。

これまでに3枚のアルバムを発表していますが、主戦場はYouTubeです。

MVは数千万再生回数が当たり前で、億に達している曲がいくつもあります。以下は6億再生回数。

 

 

ロシアでもっとも人気のあるバンドで、ロシアでもっとも金を稼ぐバンドです。

GENERATION CANCELLATION」は6月24日に公開されていて、1週間ちょいですでに600万再生回数を超えていて、これも1千万再生回数を軽く超える勢いです。「要友紀子の全国風俗街キャラバン」ともこのくらいになるといいのですけどね。

このタイトルは「取り消された世代」といったニュアンスか。どこをどうとっても反戦ソングであり、ロシア政府を批判し、監視され、情報をコントロールされたロシア国民を嗤っている内容。そして最後は独裁者が核ミサイルのスイッチを押します。

もともと独裁者を皮肉るような表現は得意みたいです。

 

 

北朝鮮はよその国ですからさしたる勇気はいらないとして、今回は自分の国。しかも、難癖つけてすぐに逮捕する国。逮捕できなければ毒殺する国です。

 

 

ウクライナ侵攻の当日にロシア脱出を決定したLITTLE BIG

 

vivanon_sentenceLittle BIGのフロントマンであるイリヤ・プルーシキン、通称イリイチのインタビューがメデューザに出ていて、重大な決意と行動のもとでリリースされた曲であることがよくわかりました。

2月24日、ロシアがウクライナに侵攻したその日、彼らはモスクワにいて、その日のうちにスタジオでミーティングを開き、ロシアを出ることを決定。

イリイチ他のメンバーはSNSに戦争を批判する内容を投稿。すぐさまどこの誰かわからない者から電話がかかってきて、「すぐに消せ」と言われ、あっという間にLittle BIGは全国のコンサート会場の出してはいけないバンドとしてリストアップされます。

決定通り、3月2日にロシアを脱出。侵攻からたったの1週間です。

マネージャーもこれに同行し、現在はロス在住。

このPVはロシアを出て各国に散り散りになっているロシア人アーティストたちのアイデアを出て集めたものだそうです。そのために手間がかかったようでもあって、4月上旬から制作をスタートさせて、完成まで2ヶ月半かかっています。

イリイチはインタビューでロシアへの思いも熱く語っています。ロシアを愛しているし、祖国が恋しい。しかし、プーチンとプーチン政権は祖国ではないと。

 

 

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