松沢呉一のビバノン・ライフ

要友紀子の立候補がもたらした勇気や希望や夢や未来—選挙戦で彼女が得たもの-(松沢呉一)

 

投票日から1週間

 

vivanon_sentence選挙で落選すると疲れが一挙に押し寄せてきて虚脱状態になり、場合によっては鬱期に突入する人がいます。既婚者だと離婚に至ることもあります。その意味でも当選と落選は天と地です。

要友紀子も燃え尽きている状態かもしれず、そっとしておいた方がいいような気もしつつ、落ち込んでいるのだとしたら激励した方がいいと思って、昨日、電話したんですよ。そしたら思い切りいつもの通りじゃった(笑)。「大イベントのあとなんだから、少しはいつもと変えろよ」と言いたくなりました。

彼女がそうは落胆していないのは、当選する可能性がゼロとは思っていないまでも、そう簡単に当選できるはずがないとの冷静な判断力が働いていたためでもあるのですが、それ以上に大きいのは、彼女は十分な手応えを得たからです。

「政治家になりたい」と切望して今回の立候補があったのではなくて、今後闘っていくための手応えや感触みたいなものが欲しくて立候補したようなところがあって、それを得られたのですから、落ち込む必要はありませんでした。

忙しいのと、数が多いのとで、全部に返事はできておらず、少しずつ返事をしているところだそうですが、すごい数のメッセージが届いていて、それらのメッセージで、立候補した意義を確認できています。

具体例をいくつか聞いただけで、私も胸が熱くなってきました。自分たちの意見を聞いてくれる候補が出てきたことに感激し、初めて投票した人たちが多数。どれだけ今まで存在を否定され続けてきたのかってことです。否定されてきたってことにさえ気づいていなかったと言った方がいいか。

※選挙公報より

 

 

要友紀子が「意義を申し立てていい」と教えてくれた

 

vivanon_sentenceデイリー新潮」の記事に出ていた「立民関係者とやらが象徴するように、「法律は、なにもわかっていない無知で怠惰で愚鈍で傲慢な私ら議員が自分らの都合で決めればいいのだ。当事者たちは黙っとけ」という姿勢の人々が決めてきたことに対して、異議を申し立てていいのだと要友紀子が示してくれました。

その際に彼女が、自分もかつては性風俗で働いていたと表明したことも信頼につながったようです。大学教員、評論家、宗教家、フェミニストというジャンルの説教師たちとは違います。

まるで準備期間がなかったのに、供託金を没収されることもなく、そういう人たちの存在が万単位いることを数で見せられたのは大きい。

これで準備期間が十分にあったら、同じ手法でも2倍3倍の票がとれていたことが容易に推測できます。それでも当選するには足りないですが、一般にはまるで無名の候補であり、組織票もないですから、初回としては十分な数です。

ここに票があることに気づいた人たちがいることに、目ざとく要友紀子は着目してました。1万7千票はそういう数字であり、潜在的にはその数倍の票があります。

投票所別の数字を見ていくと、どういう人たちが投票したのかがある程度は見えてきます。党の選対が分析するはずですが、自分でも見ておいた方がいいと要友紀子には勧めておきました。おそらく歓楽街キャラバンで回った場所では数字が伸びているはずです(前例がないので、ホントにそうかどうか私もわからないですけど)。

なお、彼女によると、悪意のある記事は「デイリー新潮」だけだったとのことです。無知で怠惰で愚鈍で傲慢な「立民関係者」がネタをふっても、相手にするメディアは同レベルの「デイリー新潮」だけでした。その点は少し安心。

※2022年7月1日付「現代ビジネス」 要友紀子に教えられて、今回の立候補について取り上げた記事を読んでみたのですが、おおむね好意的で、おおむねいい記事です(「デイリー新潮」がマイナス100点なので、その比較としてすべてプラス80点以上です)。この「現代ビジネス」の記事は筆者の迷いみたいなものがメインで、その解決を要友紀子に見出すような構成になっていて、筆者の重さに比して、要友紀子がお気楽に見えすぎますけど、現実の要友紀子もだいたいあんな感じ。あの話し方で誤解されがちですが、要友紀子は大事なことは押さえていて、そのこともこの記事では読み取れます。自己決定の大事さとか、社会はバラバラでいいのだとか。

 

 

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