松沢呉一のビバノン・ライフ

安倍晋三銃撃の謎と脱け毛の謎—本日は投票日-(松沢呉一)

 

メデューザで読む安倍晋三死去の報

 

vivanon_sentence世界情勢をメデューザで読んでいる私は、一昨日もメデューザを見ていたら、安倍晋三が銃撃されて意識不明という記事が流れてきて、数時間後に山上徹也という名前とともに「暗殺された」という表現の記事が続きました(最近の自動翻訳は個人名も正確な漢字で表記されます)。これ以降も動機は宗教団体への恨みにあることや、安倍晋三という人物のナショナリストとしての経歴なども取り上げてました。

メデューザはロシア・メディアではあれ、国外のニュースも取り上げているので、おかしはくないのですけど、ウクライナ戦争にからむ内容が圧倒的に多い中、それとは無関係の日本のニュースがこうも詳しく流れたことにちょっと驚きました、

以下はBBCです。

 

 

270万再生回数ですから、日本のネタとしては異例の関心の高さではなかろうか。

安倍晋三じゃなくても、元首相が銃殺されたとなると世界各国で報じられるってものです。これが投票行動に影響するのはよくないので、日本においては投票日が終わるまでは追悼的な内容は控えて欲しいのだけれど、事実を報じるのは当然ではありましょうし、動機が少し謎めいているのも報道を加熱させそうです。

プーチンに対して、すぐさま暗殺だのクーデターだのを待望する人たちがいるわけですが、ずーっと説明してきているように、ロシアでクーデターは起きにくい。兵士の不満がいかに高まっても、その不満をすぐいあげて上層部がクーデターを起こすことにはなりにくい。一部の兵士が蜂起しても、すぐさま鎮圧されて終わると思います。

個人が発作的に暗殺を実施することがあるとしても、一市民ではプーチンを狙える場所まで行きつけず、行きつけるような地位にいる人が暗殺を成功させても、ロシア国民の大多数はただその存在を讃え、死を悼むだけですから、似たような人物が後任になって、何も変わらんでしょう。むしろその業績が不当に讃えられて伝説化しかねない。

暗殺は民主主義方法が断たれた状態で、国民の多数が暗殺を支持する条件が整っていないと、体制の一新までには至らないので、暗殺を考えている人は思い直しましょう。

 

 

そんなことより私が気がかりなこと

 

vivanon_sentence街頭でも電車の中でもその話題でもちきりでした。

バイト先の銭湯でも、おばちゃんがそのことで話しかけてきました。おばちゃんとは仕事のことしか話さないことが多いのに、よっぽど誰かとこの話をしたかったのだと思います。

おばちゃんが何党を支持しているのか知らないし、安倍晋三が好きか嫌いかも知らないですが、おばちゃんはSPに大層ご立腹でした。

たしかに、そうとわかりにくい自家製の銃だったにしても、わずか5メートルの至近距離で後ろから銃を構えて、まんまと2発も撃たれたのは、完全にSPのミス。素人目にも、2発目は防げたろうと思えます。

責任問題になるんでしょうけど、まさかって話なので、気が緩んでいたとしてもしゃあないような気がしないではない。人が多い都市部だと緊張しても、人が少ない奈良だと警戒心が薄くなるでしょう。

おばちゃんは、医師の措置もまずかったのではないかとの思いがあるようでしたが、心臓近くに銃弾が達していたら、どんな医師でも助けるのは難しいんじゃないですかね。私はそう説明しました。

その頃にはそのネタにもう飽きていたので、その話を打ち切って、私は、先日来の謎について聞いてみました。

「排水口を見ていると、最近毛が多いんだけど、夏場は抜け毛が増えるんですかね」

 

 

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