松沢呉一のビバノン・ライフ

夏と冬、男と女、銭湯の客はどちらが多いか—浴槽の湯を使い回している銭湯は避けた方がいい-(松沢呉一)

※写真は本文と関係ありません

 

 

気温と客数

 

vivanon_sentence寒い日は風呂に入って温まりたいけど、外は凍える寒さなので、銭湯に出かけるのが億劫になります。対して夏の暑い日は熱い湯に入って、最後は水風呂に入るか、冷水シャワーを浴びてシャキッとしたい。と私は思ってしまいます。

私同様の人は多いはずで、よって「暑い日は銭湯の客が増える説」をこのところ提唱していたわけですが、実際のところ、どうなんだろうと気になって、バイト先の銭湯のおばちゃんに聞いてみました。

「そういう人もいるかもしれないけど、大半の人は暑い日は熱い湯に入りたくないので銭湯に来ない。今はシャワーだけついているアパートや寮が多いでしょ。夏はシャワーだけで済ませる。冬はシャワーだとかえって寒いし、体が温まらないので、銭湯に来る人が増えるんです」

ありゃ。あえなく我が説は崩れ落ちました。自分を基準に世界を解釈しようとすると失敗する好例でした。

私は暑い日こそ鍋焼きうどんを食い、熱いコーヒーを飲みたいと思ってしまいますが、マゾの嗜好かもしれず、一般には夏はそうめんやアイスコーヒーの方が人気か。

ついでに前から気になっていたことを聞きました。

「銭湯は男女どちらの客が多い?」

「ほとんどの日は男。男の人だと毎日銭湯に来てサウナにも入っていくのがいるでしょ。月にすると2万円くらいになるんですよ。そう考えると、銭湯は案外贅沢なんです。風呂がなくて銭湯に行くしかないって人とは別に、贅沢な趣味の人が男の人にはいる。女の人はそういう無駄なことにお金を使う人は少ないので、その分、男の客が増える」

「でも、最近、サウナに入る女性客が増えていないですか?」

「増えてますね」

 

 

女子サウナーが増加

 

vivanon_sentence2週間ほど前のこと。道を歩いていたら、若い女子集団が私の後ろを歩いていました。会社帰りのOLさんたちか。

「最近、サウナによく行っているよ」

「でも、サウナって一人で行くのは怖くない?」

「専門のサウナだとそうだけど、私は近くの銭湯のサウナに行っている。銭湯料金と200円出すとサウナに入れる。そのせいで、家ではシャワーを浴びるだけになった」

「それはいいね。私も行ってみようかな」

「サウナのない銭湯もあるから、事前に調べた方がいいよ。うちの近所にはないけど、サウナが無料の銭湯もあるみたいだよ」

そんな会話を交わしてました。女のサウナーも増えているんだなと思いました

週に1回なら、入浴料とサウナ料金を合わせて月に3千円程度ですから、たいした出費ではないし、サウナは美容と健康という実利的目的を達成できますから、「無駄」という感覚はないと思います。

 

 

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