松沢呉一のビバノン・ライフ

オフシャンニコワさんが逮捕された模様—そんなロシアでも性器表現が無罪になった-(松沢呉一)

追記:今回オフシャンニコワさんは裁判のために帰国していたと思われ、7月13日に裁判所の前でのインタビューで、反戦発言をしたことで、取り調べのために連行され、すでに釈放されています。よって逮捕ではなかったようです。

 

 

またもオフシャンニコワさんがやりました

 

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昨日、バイトに向かう電車の中でメデューザを読んでいて泣きそうになった話。

アフガニスタンで闘った退役軍人のニコラヤ・スミスリャエフさんは2012年、癌になって片肺を摘出。それをきっかけに、軍人恩給で暮らしながら、死亡した退役軍人たちの慰霊碑を作る活動をやっていたのですが、2018年、脳卒中で倒れて片目を失明。

それでも社会活動を続けていました。ウクライナ侵攻が始まって、SNSに「戦争反対」と書き込んだら、それだけで摘発されて3万ルーブルの罰金刑に。日本円で7万円くらい。彼は払えたのですが、他にも捕まっている人たちがいて、中には払えない人もいるため、その金を集める活動を始めます。

前に末期の子どもたちへの募金運動をやった時には集まらなかったのに、今回はあっという間に集まったそうです。何もできないでいるけれど、戦争には反対って人たちが多数いるのです。

寄付するだけならさすがに捕まらないでしょうけど、公開で金を集めて罰金を肩代わりするニコラヤ・スミスリャエフさんの活動は幇助になるかも。ロシアだったら容赦なく適用しそうです。

次に捕まると罰金では済まないため、慎重な内容にしているとは言え、なお戦争に反対するような内容も書き続けています。刑務所の中で死ぬことを覚悟しているのかもしれない。

バイトが終わって、さあ寝るかというところで流れてきたニュースによると、ドイツに脱出してジャーナリストをやっているはずのマリーナ・オフシャンニコワさん(チャンネル1でプラカードを出した人ね)が、モスクワで逮捕されました。

これは、今月の15日に、単身クレムリンの前で抗議行動をしたことによるもの。彼女が持っていたプラカードには「プーチンは殺人者だ。彼の兵隊はファシストだ。352名の子どもが亡くなった。あなた方がやめるためには、あと何人死ねばいいのか」と書いてあったとのこと。

ここから抗議行動が野火のように広がるってことはもうないので、わざわざドイツから戻って、この上やる必要があるのか疑問ではありますが、やらないではいられない人なのでしょうし、自分だけドイツの安全地帯にいることが耐えられなかったのかもしれない。

※2022年7月18日付ロシア語版「BBC」 この写真はオフシャンニコワさんが警察に連行されるところ。クレムリンの前での行動の写真も出ています。

 

 

性器表現で起訴された人がロシアで無罪に

 

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ロシアでは表現を規制する法律が強化されているので、ロシア・メディアを見ていると、連日のように表現によって「誰それが捕まった」「誰それが指名手配された」「誰それが有罪になって懲役刑が決定した」という報道がなされています。

 

 

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