「ジューシィー!」に行って号泣しました—私の探しものは見つからず-(松沢呉一)
「ジューシィー!」へ
日曜日はドラァグクィーン・イベント「ジューシィー!」のため、真っ昼間から新宿二丁目に行きました。
今回は「ジューシィー!」25周年であるとともに、長谷川博史氏の追悼が込められておりました。長谷川さんはドラァグクィーンのベアリーヌ・ド・ピンクとして「ジューシィー!」に出演もしてましたし、「ジューシィー!」の主宰であるマダム・ボンジュール・ジャンジはHIV関連でも共同作業が多くて、長谷川さんともっとも近い人の一人です。
通常、「ジューシィー!」は夜のイベントですけど、この日は午後2時から午後8時までの長丁場でした。長谷川さんと早い時間のお付き合いの人たちもいたでしょうから、その人たちが来やすいようにかな。日曜日の深夜はバイトがある私にとっても、早く終わってくれるのはありがたい。
入口には長谷川さんの写真や動画を観ることができるブースが設置されていて、長谷川さんがやっていた「ピンクベア・カフェ」の動画も流れてました。2000年前後に、二丁目でやっていたイベントです。「ジューシィー!」にも近いですが、ドラァグクイーンとは別の出し物も多かった記憶があります。
私もよく顔を出してましたが、映像をしっかり残していたのかと驚きました。そういうところはマメだったんだなあ。
新宿御苑の散策路へ
ステージではドラァグクィーンのショーが展開されていたのですが、第一部が終わったところで、また長谷川さんの写真を眺めていたら、急にこみ上げるものがありました。そこにいるはずのない長谷川さんがいること、あるいはいるはずの長谷川さんがいないことによって、現実をつきつけられてしまったと言いますか。
私は会場のAiSOTOPE LOUNGEを出て新宿御苑の脇にある散策路に行きました。新宿御苑は有料ですが、散策路は無料。ここは玉川上水の始まりの場所でもあります。今は浄化水を使った人工の小川ですけど、ここには園内から来るヘビもいます。
ベンチに腰を下ろし、顔をタオルで覆ってボロボロ泣きました。ここまで長谷川さんのことで涙を流すことはなくて、これが初めてです。長谷川さんが亡くなった事実を直視しないようにしていたので、今になってやっと感情が現実に追いついたようなところがあります。
思い切り泣いたらやっとすっきりして(笑)、会場に戻りました。現実を受け入れる儀式でした。
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