今度は「レジ熱中症」—日本の報道は「時候の挨拶」の延長か?-(松沢呉一)
「スマホ熱中症・ATM熱中症・地球熱中症—気候と人体と機械の関係」の続きです。
セルフレジが故障
昨夜。前回を書いてから銭湯に行き、その帰りにスーパーで買い物をしました。セルフレジに小銭を入れたら足りなかったので、お札を追加したところで画面が止まってしまって、「係員をお呼びください」という表示になり、店員を呼びました。こうも故障が連続して起きているのが私だけってことはにないんじゃなかろうか。
アルバイト店員でも対応できるように、中に「何をどうしたらいいのか」を教えてくれる小さな画面が出るんですね。それを見ながら店員があっちいじり、こっちいじりしても戻らず。3人の従業員が交替で復旧に当たり、5分ほどかかって、やっと釣りをもらえました。
私だけじゃなく、小銭がいっぱいある時にはそうする人は多いのではないかと思うのですが、ポケットにある小銭を事前に数えることなく全部入れる。それで金がひっかかるなりなんなりしたんだと思いますが、こんなことは初めてであり、レジ熱中症だと思いました。
昨日の夜は異常というほどは暑くなかったですし、店内はエアコンが効いていましたけど、天候が狂うと、「どうしてこんなところに」というところに影響が出る。
つながりがよくわからないまま、気候変動で次々と新しい感染症が猛威をふるう。気候変動で精神状態が悪くなる、気候変動で機械の不調が連発するのです。知らんけど。
記録的短時間大雨情報連発
そのスーパーは夜の11時までやっているので重宝している人たちが多くて、単身者らしき人たちはもちろんのこと、カップルやグループで、夜遅くまで混み合っています。
5分ほど待たされている間に、やることがなくて、客同士の会話を聞くともなく聞いていたのですが、「埼玉の豪雨」について話しているカップルがいました。
ゲリラ豪雨の特徴は、局地的ってことです。埼玉県本庄市では記録的短時間大雨情報が出ていて、1時間に100ミリに達する大雨なのに、ちょっと離れると雨は降ってない。私も前日の東海地方での豪雨は把握していながら、昨日は山梨や埼玉、群馬、栃木の一部でそんなことになっていることにまったく気づいてませんでした。
ウクライナのロシア支配地域でのパルチザンと同様、報道を見ない限り、どこで何が起きているのかを知ることが難しい。ゲリラというのはそういうものです。
そもそも記録的短時間大雨情報が連日のように出ていること自体が異常。
気象庁によると、記録的短時間大雨情報は、(特定地域で)「数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を、観測したり、解析したりしたときに発表」とのこと。ざっと1時間に100ミリに達するような大雨の時に出されます。1時間に30ミリだって、「傘があってもずぶ濡れになるくらいの大雨」です。
この情報は、1983年10月から始まったらしいのですが、今まであんまり耳にした記憶がない。でも、今年はすでに何度も耳にしています。1時間に100ミリが恒常化すると、記録的短時間大雨情報を出せなくなりますが、今は連発。つまり、例年に比べて、いかに異常かってことです。
この報道にも出てきますが、各地で雷による火災が発生しているのも異常。雷は避雷針に落ちるのがお約束なのに、なんでこんなことになっているのか。おそらく雷の発生数が激増していて、今までは数年に1回程度しか起きていなかった雷由来の火災が数日に1回起きているのではなかろうか。
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