松沢呉一のビバノン・ライフ

「人類の終わり」は近そうだけど、「人類の終わり」を見届けることは難しい—日本の豪雨・フランスの干ばつ-(松沢呉一)

 

今回の大雨で100万人以上に避難命令?

 

vivanon_sentence世界の洪水を集積しているサイト「フラッドリスト」に、今回の北陸・東北を中心とした日本の大雨が取り上げられないことに心を痛めていたわけですが、私の見逃しで、アジアのページには出てました。

 

 

ここでは「行方不明」になってますが、その後遺体で発見されている例もあります。

これによると、30万人以上に避難命令が出たとのこと。ここでの「避難命令」は「避難指示」「避難勧告」を合わせたものだと思われます。

ホントかよと思って検索したら、公的機関の集計が見当たらないのですが、7月に仙台で10万6千世帯に避難勧告が出ています。これだけでも30万人になりましょう。

「30万人以上」という数字は8月の北陸・東北の豪雨に関するものだと思われ、7月8月を合わせると、100万人以上か? ロシアでは人口の1パーセントが脱国して、日本では人口の1パーセントに避難命令。

広範囲に及んでいるため、この人数でも比較的スムーズに避難ができたのだろうと想像しますし、やっぱり日本は台風慣れしているのが大きい。

地域によっては今なお豪雨が続いていて、韓国のソウルでも80年ぶりとも100年ぶりとも言われる記録的豪雨です。日本にせよ、韓国にせよ、来年以降もずっと繰り返されましょう。

雨がいっぱい降るのは困りますが、どちらかを選ぶとすれば、降らないよりも降った方がまだましではなかろうか。

 

 

ヨーロッパの干ばつが深刻

 

vivanon_sentenceヨーロッパの干ばつは本当にヤバいです。

EUの合同調査センターによると、7月末現在で、EU+英国の60パーセントの土地が干ばつの警戒あるいは警告の対象となっているとのこと。警告地域ではここ30年の平均の19パーセントしか雨が降らず。当然それらの地域では農作物への影響が甚大であり、山火事のリスクも高まっています。

イタリアスペインポルトガルの干ばつが深刻であることは6月までに伝えられていましたが、これにフランスドイツハンガリールーマニアなどが追加されています。

たとえばフランスは、この7月、観測史上最悪の干ばつに突入です。フランス農務省の予想によると、ほとんどの作物は収穫を減らす見込みで、パン用の小麦は4%程度の減収に留まりますが、パスタ用は2割減。トウモロコシも2割近く減収。飼料用トウモロコシは13パーセント減。飼料用大麦はわずかに増加。ジャガイモは作付面積の増加によって収穫量も2.5パーセント増加。

フランスは小麦の輸出国ですが、アフリカに輸出していた分が足りなくなりそうとのことです。

ウクライナの小麦もアフリカ大陸に輸出されていて、なんとか輸出が再開されていますけど、ロシアに破壊やかっぱらいによって失われた分もありますから、今年のアフリカ大陸はこれまでにない惨状が展開されることになりそうです。現時点でも、小麦不足は深刻なのに。

※2022年7月18日付「Joint Research Centre」 7月半ばの段階ではEU+英国の50パーセントが警告+警戒の対象だったのが現在は60パーセントに増加

 

 

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