松沢呉一のビバノン・ライフ

飲食店も食品店も厳しい。飼料高騰と円安でとくに焼肉・ステーキ屋が厳しい-(松沢呉一)

コロナ禍で新大久保の韓国系店舗は半分潰れた

 

vivanon_sentence福田君とにせぽよと、新大久保にカムジャタンを食べに行った際、宋家ガムジャタンの社長とひさびさに話をしました。一度路上でばったり会ったことがあったようにも思いますが、店に来たのはコロナ以降は初だったかもしれない。

ひさびさの会話にはふさわしくないかもしれないですが、私はこう聞きました。

「新大久保でもコロナで潰れた店がいっぱいありますよね」

「あります。韓国系の店は半分消えました」

コンビニや大手の居酒屋チェーン、昔からある地元の経営者による蕎麦屋や靴屋は除いて、韓国系の飲食店や雑貨店に限れば「半分潰れた」のは決して大げさではありません。従業員を何人も使って、高い家賃を払っている比較的大きな店が多いですから、補償金が出たところで赤字を埋め切らずに潰れた店多数。

「でも、新大久保のすごいのは、潰れてもすぐに次が入ることですよね」

「そうですね」

長期で空き物件になっていることは珍しく。あとに入るのもたいてい韓国系の飲食店や雑貨店です。

むしろ新大久保の商圏は範囲を拡大しているかもしれず、裏通りに新たな店ができていたりしますし、新大久保から大久保にかけての大久保通り沿いの商圏は、北新宿方面に伸びています。小滝橋通りを超えた向こう側は、中国系、南アジア系が中心になりますが、店舗が確実に増えています。

ただ、どこも経営は厳しい。ピーク時には到底及ばないとしても、客は確実に戻ってきていて、とくに今は夏休みで若い女子グループが詰めかけてますが、飲食店や食品雑貨店は材料費、運送費、燃料費の高騰で利益が出ず、ここまで辛抱した店や新規でオープンしたばかりの店が今も潰れています。またすぐに次が入るわけですが。

※「宋家ガムジャタン」本店。ここのジャガイモは静岡県三方原馬鈴薯です。静岡のジャガイモはうまいんですね。

 

 

円高が焼肉屋やステーキ屋を直撃

 

vivanon_sentenceとくに新大久保の飲食店を逼迫しているのは牛肉です。カムジャタンは豚なのでまだいい。国内生産の豚肉も飼料が高騰している影響で仕入れ値は1割から2割は上がっていますが、輸入牛は円安の影響で、ここ2年ほどで3割から5割も上がっています。

円安は落ち着くかもしれないですが、飼料の高騰はこれだけ世界各国で洪水や干ばつが頻発している限りは終わらない。トウモロコシの収穫量が減っているのですから、むしろ年々ひどくなると思います。

 

 

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