ヴォルティススタジアム

【徳島vs東京V】プレビュー:今季結末を大きく左右するはずのビッグマッチ! 守備の成長部分をチームとして発揮し流れを引き寄せたい。(1431文字)

■2015明治安田生命J2リーグ 第29節
8月15日(土)徳島 vs 東京V(19:00KICK OFF/鳴門大塚)
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クラブ公認ファンサイト最初のゲームプレビューで追う今節の一戦は、ヴォルティスの今季結末を大きく左右するであろうビッグマッチ。そう表現して間違いない。

迎えるは5連勝中と最高の状態にあり、前節では6ゴールの大爆発も見せた東京V。現在J2リーグで最も波に乗っていると言える緑の名門である。それだけに勝利できれば得るものは大きい。選手たちは自らのサッカーに対する自信をグッと深められるに違いないし、チームとしても浮上への勢いを一気にシフトアップ出来よう。

しかし言うまでもなく、この戦いの難易度は相当に高い。その理由は、単に今の勢い云々ではなく、東京Vが組織として飛躍的な進化を遂げているから。
東京Vと言えば、前身の読売クラブ時代から個の技術を活かしたテクニカルな攻撃がイメージとして思い浮かぶ。そしてそのスタイルは実際脈々と受け継がれ毎シーズンの姿に見られてきたが、今季の東京Vはそれにシンプルな縦へ早い攻めをプラス。ボールを奪った瞬間の早い切り替えによるスピーディーな形も得意のひとつにしている。また彼らは90分間途切れない激しい守備も着実に会得しており、果たした上位への急浮上はまさしくそれによるものだ。事実、20節からの9試合で6度相手を完封し、その全てが勝点3に結び付いた。
いずれにしても東京Vは伝統的スタイルに新たな強みを上積み。それらの精度を実戦の中で磨き上げながら強力な集団になっている。

だが、それほどの強敵であっても勝機は十分存在するはず。そう言えるだけの成長をヴォルティスも24節以降ハッキリ見せている。もちろんそれは守備面においてで、チームは自分たちの基盤とすべき粘り強さをここに来て確立させてきたと言えるだろう。危険な侵入をしっかり潰すカバーリング、自由を与えない体の寄せ、シュートを弾き返す身を挺したブロックなど、堅守に不可欠なアクションを全員がこれまで以上に徹底出来てきた。
さらに、相手のパス回しに対するボランチ2人の対応の質が上がったこともチーム守備の向上を後押ししている。小林伸二監督が「ダブルボランチになって、ボールに行く時とスペースをきっちりマークするところが出来るようになったので随分変わってきた」と語るエステバンと、その背番号20のアグレッシブなアタックを冷静に見ながらポジションを取る濱田武の最終ライン前エリアを巧みに締める対応は、組織全体のバランスを取り、安定感を生み出す素となっている。

そうした成長を裏付けるように、ここ5試合で完封勝利4つと見事な成果もついてきた。浮上に必要なだけの力量をヴォルティスも急速につけていると言っていい。
だからこそ今節への期待も大いに膨らむ。確かに中軸選手数人をケガで欠くのは痛いが、それでも前述の成長部分をチームとして余すことなく発揮すればピッチ上の流れは必ず引き寄せられるであろう。その上でマイボールを丁寧に前線まで運ぶことが出来たなら、攻撃陣のコンディションは悪くない。素晴らしいプレーで前節の決勝点を生み出した木村祐志やキム ジョンミン、動きにキレを感じさせている津田知宏らがきっと東京Vのゴールネットを揺らしてくれる。

2013年に見せたような夏場の強さを再び──。
それを信じて開始のホイッスルを待ちたい。

reported by 松下英樹

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