ヴォルティススタジアム

【磐田vs徳島】プレビュー:前節に続く上位との激突。磐田の抱える守備の問題点をしつこく突けるかが勝負のポイント。(1519文字)

■2015明治安田生命J2リーグ 第30節
8月23日(日)磐田 vs 徳島(18:00KICK OFF/ヤマハ)
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第24節からの6戦で5勝。ヴォルティスは今、シーズン途中までの不調イメージを完全に吹き消す目覚ましい前進を見せている。さらにその5つの勝利が全て完封勝ちであったことを考えれば、チームの成長はもう疑いのない事実。そう評価もしていいはずだ。

しかしながら、リーグにおける立場はまだそれほど大きく変えられていない。確かに勝点は伸ばしたが目指すプレーオフ圏内にはまだ届いていないし、少しでも足踏みを起こしてしまえば再び下位へ沈む危険もある。それだけにチームは最近の昇り調子に満足することなく、これまで同様眼前の戦いにだけ集中し、とにかくそこでの勝利を今後もひとつひとつしっかりもぎ取っていかなくては。

さてそのような状況下で迎える今節だが、ヴォルティスにとっては前節に続き相当難しい戦いになることが予想される。相手は磐田。今季J1復帰を至上命令として背負い、現在2位に着けているサックスブルーの軍団。選手個々の能力は高く、特にジェイ、アダイウトンらのいる攻撃陣のそれは特筆すべきもので、43という現在の総得点が示す通り破壊力は抜群だ。

ただ、そうした攻撃力を持つ磐田も、今は守備の堅さを作り切れないがために苦しい状態へ陥っていると言えよう。事実彼らは最近の5試合全てで失点し、うち3試合では複数のそれを喫している。また1勝1分3敗というその間の戦績から見ても、磐田が組織バランスを崩すほどの守備不調にあるのは間違いない。

そして、福岡に敗れた前節では、目に見える具体的な形で抱える守りの問題点を露呈していた。2度ネットを揺らされたシーンどちらもがそうであったが、サイドを深くえぐられた時に中央のマークをルーズにしてしまうのがその問題点。自軍ゴール前へ戻る選手たちがボールウォッチャーになってしまい、自身が真ん中で掴まえておくべき対象を不用意に放してしまうのである。

となれば言うまでもなく、この一戦でヴォルティスが突きたいのもその中央の甘さ。両翼からえぐる攻撃をしつこく仕掛け、磐田守備陣が問題を発生させたところを見逃さずゴールを奪い取りたい。そこで今節のキーマンとなるのは当然サイドをプレーエリアとする廣瀬智靖やアレックス、藤原広太朗であろう。彼らが積極的に深い位置まで侵入し、そこから精度のある折り返しを見せられたならチャンスはきっと大きく広がる。そこへ津田知宏やキム ジョンミンの上手い潜り込みが掛け合わされれば必ずスコアを動かすことができるに違いない。

前節のゲームで攻撃の司令塔となっていた木村祐志が負傷。今節からヴォルティスは背番号7を欠いての戦いを強いられることになる。木村はこれまで中盤からの展開や仕掛けを強力に支えていたことから、戦力的なダウンはやはり否めないだろう。それだけにこの一戦ではその痛手をチームで如何に補い、前述のような狙いある攻撃をどこまで組み立てられるかが大きな注目点となるが、これからのシーズン終盤でさらなる浮上を果たしていくためにはこうした状況も乗り越えられる組織としての底力が絶対不可欠。ピッチに立つ選手たちはその自覚を強く持ち、それを実際高めるためにここで何としても結果を出す必要がある。

いずれにしろ、今節もヴォルティスにとっては勝利を逃せない90分、絶対に負けられない戦いだ。2点のリードを追い付かれてドローにもち込まれた前回対戦(第16節)の悔しさもエネルギーに変え、アウェイ戦ではあるがチームには今度こそ白星を掴み取ってもらいたい。

reported by 松下英樹

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