ヴォルティススタジアム

【2015年のヴォルティスを振り返る(1)】混迷(第1節〜21節)

ぎりぎり中位グループにぶら下がる14位という位置で今季リーグを終えたヴォルティス。1年でのJ1復帰を目標に掲げていたことを考えれば、その順位はやはり不甲斐ないと言われて仕方のないものであろう。
しかし全く希望を感じなかったかと言えば決してそうではない。事実、チームは夏場に勝点獲得のペースをアップ。開幕から続いた悩める状態を抜け出し、初のJ1昇格を決めた2013年に近い雰囲気を漂わせたと言える。
ただ今季はそれが長く続かなかった。そしてその結果、ヴォルティスの2015年は「混迷、成長、失速」という3つの言葉で形作られることに──。

いずれにしてもヴォルティスにとって今季は悔しさにまみれたシーズンであった。それだけに誰もがもう新しい年のことへ頭と気持ちを切り替えたいだろうが、来季で進化を果たすためには今季の失敗としっかり向き合うことも必要だ。そこでこの年末、区切りの意味も含め、前記した3つの言葉の括りごとに今季のチームを今一度振り返りたい。
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小林伸二

開幕戦で戦況を見つめる小林伸二監督。

●混迷(第1節〜21節)
その第一回目としては、まず開幕から第21節までのリーグ前半戦、「混迷」の時期である。

昨季J1で嫌というほどの失点を喫したヴォルティスは、その教訓からこれまで以上に守備の粘り強さを重視。それを念入りに強化して、J1返り咲きを目指す今季に入ったはずであった。が、リーグ序盤は準備してきた守りが信じられないほど機能せず。第2節でいきなり2失点を食らうと、第4節以降では4戦続けて複数失点し、チームは早くも組織基盤の大きな立て直しを迫られた。

そこでヴォルティスはシステムや選手の組み合わせ方などを変えながら苦境打破の道を模索。アンカーを置く4-1-4-1も試したし、開幕時サイドバックを務めていた内田を一列前の位置で使い続けたりもした。
だが、流れは好転しない。テコ入れした守備は何とか改善へ向いたものの、今度は得点力の弱さが問題となり、チームはなかなか白星を挙げられなかった。実際に第8節から14節までの7戦を振り返ると、失点したのは3試合だけで全てが最少の数字だったが、挙げた得点もその間僅かに4つ。結果、勝利したのは第8節・京都戦のみと、良くなった守りを戦果に繋げられなかったと言えよう。

すると、そうした負の流れは抑え込んだと思った悩みを再び目覚めさせてしまう。
せっかくいい方向へ進んでいた守備がまたも不安定な状態へ逆戻りし、15節からのヴォルティスは2失点の4試合を含む7試合連続失点。手にした白星はここでも1つに留まった。

守備、攻撃、守備──。リーグ前半戦のヴォルティスは常にどちらかに問題を抱えていた。しかも、攻撃が悪くない時に限って守備が不安定、守備の立ち直りが見られた時には攻撃が沈黙と、まさに歯車が噛み合わない状態。
いずれにしても、21戦を戦って3勝しか挙げられなかったこの時期は、間違いなく「混迷」という一言が当てはまる。シーズンの残り半分に対しては不安感しかなかったのが正直なところだ。

つづく

reported by 松下英樹

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