【2015年のヴォルティスを振り返る(3)】失速(第34節〜42節)
ぎりぎり中位グループにぶら下がる14位という位置で今季リーグを終えたヴォルティス。1年でのJ1復帰を目標に掲げていたことを考えれば、その順位はやはり不甲斐ないと言われて仕方のないものであろう。
しかし全く希望を感じなかったかと言えば決してそうではない。事実、チームは夏場に勝点獲得のペースをアップ。開幕から続いた悩める状態を抜け出し、初のJ1昇格を決めた2013年に近い雰囲気を漂わせたと言える。
ただ今季はそれが長く続かなかった。そしてその結果、ヴォルティスの2015年は「混迷、成長、失速」という3つの言葉で形作られることに──。
いずれにしてもヴォルティスにとって今季は悔しさにまみれたシーズンであった。それだけに誰もがもう新しい年のことへ頭と気持ちを切り替えたいだろうが、来季で進化を果たすためには今季の失敗としっかり向き合うことも必要だ。そこでこの年末、区切りの意味も含め、前記した3つの言葉の括りごとに今季のチームを今一度振り返りたい。
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【無料掲載】第1回 混迷(第1節〜21節)
第2回 成長(第22節〜33節)
●失速(第34節〜42節)
ところが……。
ここからいよいよ本格的な追い上げをという大事なシーズン終盤、チームはその成長を戦いの中で発揮出来なくなってしまう。
まさかの「失速」。
その嫌な兆しが見え始めたのは、やはり第34節のC大阪戦であろう。J2屈指のタレント軍団からしぶとく勝点1をもぎ取ったことは評価に値するが、問題はその一戦での失点時に見せた守り。C大阪が後方でのボール回しからロングフィードのタイミングをうかがっていたにもかかわらず前線の選手たちの寄せは間合いを詰め切らない緩慢なものであったし、最終ラインは得点を決められたパブロのマークをルーズにして簡単に裏のスペースへの侵入を許した。その前節まで出来ていた粘り強さのあるハードワークが失われ、結果信じられないほど易々とネットを揺らされたのである。しかもそれはハーフタイムが間近に迫った前半アディショナルタイム。よりいっそうの引き締めが必要な時間帯と分かっていながら、選手たちは気持ちを一足早くロッカールームへ引き上げさせたのかと思うような緩い雰囲気になり、結局そこを突かれた。
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