ヴォルティススタジアム

【徳島vs北九州】プレビュー:求められるのは、自らの成長をさらに進める流れの中でのゴール。

■2016明治安田生命J2リーグ 第14節
5月28日(土)徳島vs北九州(13:00KICK OFF/鳴門大塚)
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前節、変化の継続は確かに感じられた。選手たちはアグレッシブな姿勢で攻撃への意欲を強く放っていたし、実際それによってチームはいい形の仕掛けを披露。群馬ゴールへ何度も鋭く迫っていたと言えよう。

しかし、である。奪った得点は結果的にCKからの1点だけ。好機を作りながらも流れの中ではネットを揺らせず、それゆえ前節はドローに持ち込まれてしまった。さらに言うなら前々節の清水戦もそうだ。驚くほどの変化を見せて勝利したという話題性ある結果に隠れてしまったが、あれだけゲームを支配したにもかかわらず決まったのはそこでもCKの一発のみで、そのため追い付かれるのではないかというヒヤヒヤ感が消えることは終了のホイッスルを聞くまで一時もなかった。

そうした事実に視点を合わせると、戦いの内容は上がったものの、流れの中でゴールを奪い切る部分に課題があるのはやはり明らか。長島裕明監督も前節追い付かれたことを受けて「流れの中から2点目、3点目を取って突き放すことが出来れば、チームとしてもっと良くなると思います」と口にしていたが、現時点ヴォルティスにはまだそこが足りていないと言わざるを得ない。

だからこそ今節についてはアタッキングサードでの精度が非常に大きなポイントとなる。それを高められるかどうかがチームの向き合う結果を決めるはずだ。
そして、さらに掘り下げて言えば、最もその精度が求められるのはサイドからのクロスであろう。非常に良くなった中盤の組み立てによってチームはサイドの高い位置へ効果的なタイミングでボールを運べるようになり、「攻撃は試合をするにつれて良くなっている(渡大生)」のだから、後はそこから入れる球質次第で得点の可能性は大きく変わってくると思われる。両翼を務める内田裕斗と広瀬陸斗の若武者2人は、熱くプレーしつつも、それを供給する場面では冷静さをもって1本のキックに全ての集中を注ぎ込まなくてはならない。

変化を遂げた戦いでの勝利を早くホームで──。言うまでもなくファン・サポーターは強くそう願っているはずだ。チームにはそれに応える90分を必ず見せてもらいたいし、また前節4,000人を切ってしまったホームゲーム来場者数のことを考えると、選手たちは是が非でも観る者に興奮を与える魅力的なプレーで歓喜の瞬間をスタジアムへ届ける必要がある。
そのためには、とにかく流れの中でネットを揺らして自らの変化をさらに進めることだ。ヴォルティスの姿に注目したい。

reported by 松下英樹

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