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無料記事 2012 J1第26節【FC東京vs.川崎フロンターレ】<今週のピックアップ> 羽生直剛(2012/09/23)

FC東京は先発メンバーがふたり、前節と異なっていた。センターバックの加賀健一が故障し(左膝内側側副靭帯損傷、全治三~四週間)、高橋秀人がボランチからセンターバックへと一列下がり、長谷川アーリアジャスールがボランチに入った。

前目のポジションでは、左サイドハーフが田邉草民から羽生直剛に替わった。
羽生と言えば、持ち味はランニング。そのフリーランを契機にスペースが生まれ、あるいは消え、人とボールが動き、双方の陣形が入り乱れる。流動的な攻撃を試みて相手の守備陣を崩す際のスイッチになる選手だ。もちろん前線でのファーストディフェンスにもプレッシングで貢献し、チーム守備の方向づけをしたり、あるいは危険地帯へと駆けつけて直接チームを危機から救いもする。
自らたくさん点を獲るわけではないが、運動の量と質でやろうとするサッカーのベースを築く、まさに「エンジン」のような存在ではないだろうか?

必死に走る羽生、先発復帰戦について語る

したがって東京が持つ得意なカラーのうち、走るサッカーの面がある程度強調されることは予想できた。ファーストハーフの45分間は、まさにそのようになっていた。
しかしセカンドハーフ最初の10分間に2失点。羽生も徐々に目立たなくなり、後半30分にエジミウソンと交替した。
5月6日のJ1第10節以来の先発出場となった「復帰戦」についてどう思っているのか、試合後の羽生に訊いた。

──前半からペースが上がっていてかなり体力を消耗したのか、たとえば米本拓司選手は後半17分にはもう足を攣っていました。羽生さんはいかがでしたか?

羽生 実戦、というかフルコートでやることは、練習試合でも(故障離脱の状態から全体練習に復帰して以来)なかったので。(この試合が)復帰後、初めてだったんでね。行けるところまで、という感じでやりました。
試合展開からすると、ある程度自分たちが支配しながら進められた試合だった。後半、少し疲れたかなと思いますけど、思ったよりはできたかな、という感触はあります。走りに関しては、まあまあ、思ったより保った、と思います。
まだ。もっと試合をやり込まないと。やれば、もっとよくなるという感じではありますけどね。

──ポポヴィッチ監督は試合前に、クオリティのちがいを見せてほしい、と期待を述べていたのですけれども、ご自身としては、きょうはここができたかな、という点は?

羽生 みんなが言ってくれたのは、ディフェンスのときも、しっかりとスイッチを入れるというか。ぼくからプレスを含めて、攻守両面でリズムをつくるというか。そういうところは心がけてやりましたし、それが、ぼくが出ている意味だと思うので。
攻守両面でしっかりと流れを見ながら、ぼくが活躍するというよりは、ぼくがいま持っているものをやりつづけて。ほかの人がプレーしやすくなるよう、チーム全体でいいリズムにできるようにと考えて、まずは、いまは心がけて。それを意識してやりました。

──そういう意味では、先手をとることができたゲームだったと思うんですけれども、後半の序盤に2失点しまったのは、立ち上がりの悪さが原因ではないのだとすれば、何によって起きたんでしょうか。

羽生 どうでしょう。前半はぼくたちが支配したゲームだと思うので、それをつづけよう、あとは後半の立ち上がりにもう一回ギアをしっかり入れ直して、前半と同様、もしくはそれ以上の圧力をかけられるように、アグレッシヴに行けるように、と言っていたなかで「自分たちのゲーム」になりつつあったゲームを、後半の開始に失点してしまって。そこで、自分たちのゲームだった(はずな)のに、というので、慌ててしまったのかなと。
0-1でも、もう一回しっかりとやり直し、つなぎ直して、といううふうにすればよかったんですけど。そこで少し慌てて、2失点目があって、ということが、少しもったいなかった。0-1でよかったし、0-1のまま推移できれば、最後にまたチャンスがあったと思う。ひっくり返せるだけのパワーが、出てきたはずだと思うんですけどね。

──1失点目よりも2失点目のほうが、きょうの試合の勝敗を決定づけるうえでは大きかった?

羽生 そうですね、ぼくが感じたのは。もちろん、後半の立ち上がりに1点目を入れられたのは痛かったですけど、自分たちが前半のようにやり直すことができれば、川崎の2点目もなかったと思うし。
そこで、さきほど言った、前半がよかった面が(影響して)、逆に失点につながった。落ち込んだ、動揺したという感じです。

──うまくいっていたがゆえに、反動で?

羽生 そう……ですね、うまくいっているときに、しっかり(点を)獲らないといけないと思いましたし、逆に、ぼくらが支配しているときに落としてきたゲームは初めてではないと思うので、うーん……そういう意味では……未熟な部分もあると思うし、いいペースで行っているからこそ、締めなければいけない部分とか、つづけなければいけない部分が、まだまだ甘いチームだと思います。
でも、それもみんなでしっかり話し合って。これで点が獲れないからこうなるんだ、というのは、みんな話していたので。FC東京は、もっとこういうゲームを積み重ねて、しっかり90分間、試合ができることにトライしていかないといけないチームだと思う。それができるようにしたいと思います。

──風間さんの比較的つないでくるサッカーを感じられないままでしたか?

羽生 映像で観てわかっていましたし、メンバーも替わっているので……。では、相手がつなぐところで、アグレッシヴな守備で自分たちがどのくらいはめ込めるのか、まずはトライしてみようという感じでした。
相手がどうこうというよりは、たとえば、このあいだの清水戦では、引きすぎてしまったり、相手にボールを持たせすぎて、主導権を握ろうとしないというか、守備からでも主導権を握ることができるはずなのに、それをちょっと放棄している感じがあったので、それをみんなで話し合って。きょうは前半から、しっかりプレッシャーをかけてアグレッシヴな試合を見せるというのを、やろうとしていました。
そういう意味では、きょうにかぎっては、フロンターレがどうこうというよりは、自分たちが前半にいい「入(はい)り」ができたことがプラス(の要素)ではあると思います。
もちろん、(中村)憲剛とか変化をつけられる選手が多いので、パスワークが始まったときは厄介だと思いましたけれども、シュート数など(のリザルト)を見れば、きょうにかぎっては(風間フロンターレのめざす支配力は感じられなかった)。

──こう言ってしまうと失礼なのですが、前半、あれだけ川崎を圧倒できると予想していましたか。

羽生 うーん……どうでしょう。ぼくはまあ……必死だったので(苦笑)。どういう展開になるのだろうかと。
でも、自分たちがしっかりやれば、どの相手とも対等以上にできると思っているので。思ってはいませんけど、できる(ようにしたい)と思ってやっています……かね。たまたまできちゃった、というか。どこと試合をするにしても難しいことはあるだろうなと思いますけど、きょうの入りからしたら、自分たちは(どことも対等以上に)できるんだな、できたゲームだな、という感じです。

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