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【トーキョーワッショイJ+】甲府の城福浩監督(元FC東京監督)が「24戦無敗」達成で健在を示したJ2最終節

財源不足の甲府、進まぬ補強

11日のJ2最終節では、優勝を決めたヴァンフォーレ甲府と、試合開始時点で2位の京都サンガF.C.が、京都のホーム京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場にて激突。京都の猛攻をしのぎきった甲府が0-0に引き分けに持ち込み、京都のJ1自動昇格を阻止した。前回、山梨中銀スタジアムでの対戦では京都に0-3で敗れている甲府。チームづくりを見直すきっかけともなった相手との再戦だけに、雪辱を果たしたことになる。内容的にも1位と2位によるJ2最高峰の決戦と呼ぶにふさわしい、緊張感あふれるものだった。甲府はJ2連続無敗記録を「24」に伸ばしてシーズンを終えた。

今夏に雑誌の取材で山梨を訪れて以来、久々に城福監督に、試合後共同記者会見と囲み取材で、直接話を訊く機会を得た。その落ち着いた口調には、世界のサッカー界と日本のサッカー界の立ち位置、J1を頂点とする日本のクラブサッカーで甲府が置かれた立場を考慮したうえで、自らの指導哲学によってどのように勝つ確率を上げ、クラブのポジションを高めていくかということについての、確信が漂っていた。

シーズン中にかかわらず発表したことで話題となった「Jリーグサッカー監督 プロフェッショナルの思考法」には、城福監督が考え、実践する「チームのつくり方」が1から10まで書いてある。それによると、初期には「チームのフレームづくり」が必要だと書いてある。

FC東京で指揮を執っていたときには、東京が首都を代表し、リーグを牽引するクラブにならなければいけないという「首都のクラブとしての使命」を前面に押し出していた。東京にはJ1トップではないにしろ、それなりの財力はあるし、各年代別代表選手が揃う選手層もあり、トレーニングも毎日、設備が整った小平グランドでおこなうことができる。そういう恵まれた環境にあるからには、国内トップを狙うべき使命があると宣言することは、チームを強くするためのわかりやすい指標だった。

しかし甲府には財力がない。トレーニング環境も、それこそ現京都の大木武監督が指揮を執っていた頃より、徐々に整ってきてはいるが、東京と比べてよいというレベルではない。それに、なにより移籍金(違約金)を払って他クラブで複数年契約中の選手を獲得できるほどの財力がない。だから、早々にJ1昇格を決定し、来季の体制づくりをいち早くスタートさせたにもかかわらず、まったくと言っていいほど選手獲得が進んでいないという旨を、城福監督は語っていた。

もちろん、強化部と相談のうえ、リストアップはしているが、選手はまず資金力があるクラブとの交渉を優先するから、甲府がアプローチしたところで後回しになるだけだ。だから「まさに机上の空論」(城福監督)でしかない。

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