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やっぱり塩田だ!PK戦でも大丈夫!絶大な存在感と冷静な計算で勝利を呼び込む【マッチレビュー/リザルト】第93回天皇杯三回戦 ジェフユナイテッド千葉対FC東京_第1報(10/13)[3,245文字](2013/10/14)

◯マッチレビュー

試合前に「平松東京!」と、ひときわ大きな声援を浴びていたのは度重なるアキレス腱の負傷による長期離脱から不死鳥のように復活を遂げ、公式戦遠征メンバー入りを果たしたディフェンダー平松大志。試合後は、PK戦で勝利の立役者となったゴールキーパーの塩田仁史が「塩田東京!」と、コールされていた。

――最後に「塩田東京!」というコールがありました。ファンも、シオさんが東京のエムブレムを掴むクラブへの忠誠心などを感じてくれていると思うのですが、聞いていてどう思いましたか?
「もう一〇年やっていますし、いいときも悪いときもサポーターのみなさんは知っていて。けがもあり、病気もあり。こういう難しい立ち位置というのもサポーターはわかったうえで、ああやって声援を送ってくれるのはすごくありがたい。日本一心強いサポーターだと思って。ほんとうにありがたいです」(塩田)

ひとしきりファンの歓待に応えた塩田は、ロッカールームに向かうところでランコ ポポヴィッチ監督と抱擁をかわす。
ポポヴィッチ監督に「熱い抱擁でしたね」と訊くと、こう答えられた。
「彼との関係は良好ですし、わたしの信頼を彼も感じてくれているようです。塩田は熱い抱擁をするにふさわしいプレーをしてくれました」

現在の正ゴールキーパーは言うまでもなく権田修一。ゆえに塩田は権田が不在のときにゴールマウスを守ることになり、出場機会は飛び飛びになる。それでも偶に訪れる先発出場のため、常に腕を磨いておく必要がある。その不断の努力をポポヴィッチ監督は高く買っているようだ。
「彼がいままで重ねてきたことがここで活きました。努力は必ず報われる。出場機会が少なくとも腐らず、ひたむきに努力してきた。チームのため、クラブのためという姿勢を絶対に崩さずに。その人間としても選手としてもすばらしい努力、姿勢が、この結果をもたらした」(ポポヴィッチ監督)

リーグ戦での順位はJ2プレーオフ進出圏内にぎりぎり引っかかるくらいのジェフユナイテッド千葉だが、プレーの内容そのものはJ1クラブのクオリティを持っている。ピンチ、被決定機なしでは済まない。しかし失点場面とその直前以外はことごとくを防いだ。一度など、自分自身が飛び出してしまい、シュートを撃とうとする相手とのポジションどり追いかけっこの状態になりながら結局撃たれ、万事休すかと思いきや脚でセーブする! という場面もあった。
延長戦の果てのPK戦では二本を止め、一本のミスを誘った。相手選手の癖を分析、みずからの経験、感覚と照らしあわせた結果だった。ゴールキーパーとしてストップを含むPK戦の勝利は勲章以外のなにものでもない。塩田はよくやった。優勝したのかと錯覚するような歓喜、劇的な勝利を引き寄せたのは、背番号1だった。

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