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「勝つんだという気持ちでPK戦に入りました」(塩田)【コメントアーカイヴス】塩田仁史、徳永悠平、長谷川アーリアジャスール、渡邉千真、河野広貴、ルーカス、ランコ ポポヴィッチ監督/第93回天皇杯三回戦 ジェフユナイテッド千葉対FC東京_第2報(10/13)[8,160文字](2013/10/15)

◆対千葉戦後の選手、監督のコメント:強い気持ち

サッカーの力は総合力で、技術、判断、フィジカル、メンタルのいずれが欠けても得点や勝利の可能性が低くなる。
そこを考えると、鹿島アントラーズに敗れるまでの四連勝と、鹿島に敗れたあとに天皇杯三回戦対ジェフユナイテッド千葉戦でのPK戦勝利で見せた内容からは、試合の序盤から終盤まで保つことができる集中力と気迫、優位に立った試合運びができる落ち着き、不利な展開でも取り戻せる反発力、立場を越えての団結・結束など、主に精神面での成長がチーム力を高めていることがわかる。

ミックスゾーンでの談話がどこまで本音を吐露しているか、その度合いは、もちろん選手本人にしかわからない。それでもコメントには、そのときどきのチームや選手個々の状態がにじみ出る。
河野広貴が去り際に「チームのおかげですよ! みんなのおかげで笑って帰れます」と言ってみたり、自身が得点できていない状況でありながら渡邉千真が「味方が撃つようなシーンも増やさないといけない」と言い、ルーカスが「負けるときはみんなで負けますし、勝つときはきょうみたいにみんなで喜びたい」とわかちあうことを強調していることには、それなりの精神状態がバックボーンにあるはずだ。つまり、ひとつになるという意味でのチーム力が上昇している。

「とにかく強い気持ちをもって、勝つんだという気持ちでPK戦に入りました」
これは塩田仁史。
「次はJリーグですけど、おれたちは勝つだけしかないので。優勝を狙っています。上も1位2位対決、3位4位対決がこれからありますし、まだまだこれからどうなるか最後までわからないですから。もう残り六試合全勝する気持ちでがんばりたいと思います」
これは長谷川アーリアジャスール。
強い闘志がたぎっていることがわかる。

勝利が最優先となるノックアウト方式の大会で、メンタルが強調された試合に、FC東京は勝った。同時に、しっかりと相手の特徴を頭に入れてPK戦に臨んだ塩田仁史を見てわかるように、それ以外のできることを尽くす作業も忘れてはいない。
PK戦は運で決まるくじではなく、それ相応の技術や分析力が反映される戦いだ。たんに運がよかったとか、勘が冴えていたということではない。

鹿島に敗れても、じわじわとした成長は歩みを止めていないようだ。今週末のリーグ戦でも、その成長が本物であることを見せてほしい。

◯ランコ・ポポヴィッチ監督の共同記者会見後の囲み取材に於ける談話

――試合の途中でルーカス選手と三田選手のサイドを入れ替えたが?
「試合のなかで状況に応じて流動的にサイドを変えることはいつもある。
(上がってきた千葉サイドバック米倉恒貴のウラを狙う?)その意図があったことはたしかです。
もうひとつは、ルーカスよりもタマのほうが年齢と体力を考えてもアップダウンを繰り返せますから、米倉にぶつけて彼を疲れさせる意図がありました」

――交代枠をひとつ残しておいたのは?
「こういう何が起こるかわからない展開(0-1の僅差で延長戦に入る可能性があり故障者が出る可能性もある)で、一発勝負ですから、常に自分のなかでは複数の選択肢を持っておかないといけない。
きょうの試合は勝ったとはいえ、もっと早く終わらせないといけない試合だったと思います」

――具体的には序盤のカズマ(渡邉千真)とタマ(三田啓貴)のチャンスで点を獲っておけば0-2以上で勝っていたかもしれないのですが、やはり最初のチャンスを逃すと相手に流れが行ってしまうということでしょうか?
「やはり相手も非常に力のあるチームですし、自分たちが決定的なチャンスを外してしまえば、流れが相手に行きます。横河戦でわたしたちも体験していることです。JFLの横河相手にも、決められなければ自分たちが苦しむ。
ただ最後まで集中力を切らさずに戦えたことはよかったと思います。かたちはどうあれ、勝つことができましたし。サポーターのみなさんにも盛り上がっていただけたと思います。昨年の苦い経験を活かすことができたと感じています。サポーターのみなさんにも悔しい思いをさせてしまい、その姿をわたしたちは忘れていません。そういった経験が今回に活きているとは、確実に言えると思います。
試合中もすばらしいサポートをしていただいた。そのサポートが気持ちよくて試合時間を長くしてしまったのかもしれないですけれども(笑)、次回はしっかりと90分で勝ちたいと思います」

――PK戦の前には選手たちに何を伝えたのでしょうか。
「リラックスして。落ち着いて冷静に、と。試合(延長戦までの120分間)自体はよく戦っていました。よけいなことを考えずにリラックスして楽しみ、自信を持ってPKを決めるように、という話をしました」

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