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勝つべくして勝った東京。「誰も満足していません。ロッカールームでも次に向けた発言が多かった」(高橋)【マッチレビュー/リザルト】2013 Jリーグディビジョン1 第29節 FC東京対アルビレックス新潟_第1報(10/19)[3,268文字](2013/10/19)

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◯マッチレビュー

実践するサッカーに共通点があり、現時点での成績が近いFC東京とアルビレックス新潟。しかし実際には明確な差があり、それが最終的な結果につながった。

新潟の柳下正明監督は「どっちに転ぶかわからないゲーム“だった”」と、過去形を強調して言った。

たしかに前半45分間はほとんど五分だった。それでも質の差はあった。
「FC東京はこういう天候でもしっかりとつなぐことができる。新潟はチャンスになりかけたところでミスが多い」
ミスのもとを辿っていくと、アイコンタクトの不足によるところが大きいという。柳下監督も最近気づいたばかりで、ハンス・オフト監督が1993年に率いた「ドーハの悲劇」の日本代表でもさんざん指摘されていたことが、新潟の選手たちはできていなかった。これから改善していくという。

東京の選手たちはパスの授受を正確にというレベルでのコミュニケーション以外に、ディテールのやりとりがうまくいっていた。高橋は言う。
「各々が感じたことをしっかりと喋って伝えることと行動することが大事だと思う。たとえば(森重)真人は(太田)宏介に絞り方について試合中にすごく言っているし、加賀(健一)ちゃんやアーリア(長谷川アーリアジャスール)はカウンターのケアの仕方をどうするか、言ってきてくれる。試合中にそうして話し合う機会が多く、からだが動いているときは、東京は勝てると思います」

工夫を凝らした精度の高い攻撃が、長谷川のフリーキックゲットにつながった。
それを決めたのは太田宏介だが、太田は自分ひとりの力ではないという。
「(東)慶悟が動いて壁が崩れたことが大きかった。自分ひとりの力ではなく、その前のフリーキックをとってくれたところまでを含めて、みんなの力でとったゴールだと思います」(太田)
東が動いて太田が蹴る。その逆に、次のチャンスには東が蹴る。相談、連携、連動……協力が好循環を生んでいる。

新潟の川又堅碁はセカンドハーフの28分に右へと逸れた強力なシュート一本のみ。それに対して渡邊千真はシュートゼロだった。
それでも東京の攻撃は、チームとして、あるいはユニットとしては機能していた。
渡邊はボールをはたいて次の動作に動き、チャンスメークに貢献していた。
「いいんじゃないですか、チームが勝ったから、まずは。それがいちばんです。きょうは前で受けることができていたほうなので、あとはシュートを決めるだけかなという(感触)が自分のなかにあります」(渡邊)

得点王争いを考えれば焦りが生じてもおかしくないが、フォア・ザ・チームの精神は揺るがない。
「まずは前線で受けることがチームとして大事なので、そういうところは継続してやって」
東京がクサビ、あるいはウラを狙ったタテパスは、新潟も警戒していた。そのなかでも受けてはたくというリズムで攻撃が機能していたのは評価できる。
しかし点を獲ることも必要だ。

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