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FKゲットで太田宏介の同点弾を呼び込んだ林容平、自らもプロ初ゴールを決めてチームの危機を救った!【速報/ストーリー/試合経過ほか】第93回天皇杯全日本サッカー選手権大会 準々決勝 ベガルタ仙台対FC東京_第1報(12/22)[3,968文字](2013/12/22)

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◯ストーリー/林容平

林容平は試合後、ルーカスからもらった言葉を反芻していた。
「この前会ったときに“おまえならやれる。来年がんばれ”って言われたんですよ……ことしとは言われなかった(笑)」
来年がんばるつもりが、いまがんばってしまった。

偉大なる先輩は2011年、突如として現役復帰を果たし、J1昇格の夢が潰えかけていた古巣を危機から救い出した。まさに救世主。そのルーカスに代わって救世主としての仕事を成し遂げるかのように、林は天皇杯敗退の危機に瀕していたFC東京を救った。

あのすばらしい太田宏介の同点ゴールも、林があのベストポジションでフリーキックを獲得しなければ生まれなかった。値千金の被ファウルだった。
そして決勝ゴール。石川直宏のクロスを、さながらジョホールバルの岡野雅行のごときからだごと蹴り込むかのようなワンタッチプレーで、枠内へと転がした。
東京の2点はいずれも後半と延長後半それぞれのハーフの終了間際で、どちらにも林が絡んでいた。

ミックスゾーンで囲み取材を受けていた太田宏介が視線を遠くにした。前を見やりながら言うには「スターのお出ましですよ」。
「こんなにたくさんの記者の方に囲まれたのは初めてです」と、眼を白黒させる林に、ひと足早くバスに乗り込もうというランコ ポポヴィッチ監督も「スーパースター!」と大声で囃し立て、肩をバンバンと強い力で叩く。林がこれほどスポットライトを浴び、指揮官と笑顔を交わす日が来ることを誰が予想し得ただろうか。

三田啓貴はこの日、試合出場がなかったのに、ミックスゾーンを通ってバスに乗り込むとき、紅潮してとてもよい表情をしていた。そのことを告げると、林の顔がほころび、三田についての言葉がぽろぽろとこぼれてくる。
「そうですね、あいつ、すごく喜んでくれて……試合が終わったらあいつ泣きながら走ってきて、いちばん早かった。一回試合中に軽く“うるっ”ときて、それが収まりかけていたんですけれど、ベンチのほうを見るとマル(丸山祐市)とタマ(三田)が走ってきて、号泣しながらこっちへ来た。それを見てまた、泣きました」

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