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コラム/長文コメント◆圍謙太朗 ベンチ入りが持つ意味(2014/06/14)

コラム/長文コメント◆圍謙太朗 ベンチ入りが持つ意味

「(チームに、あるいはシーズンに)入ってすぐ、思ってもみなかった第2節のホームゲームでベンチに入ったじゃないですか。それで“大事だな、メンバーに入るのは”と思って。試合に出ることも大事だけど、下積みのひとつとして、メンバー外からすぐ試合に出るより、ベンチでの経験をすることもこれからの人生にとって大事だな、ということを感じました。
そこから一試合も入らず、どんどん練習も削られ、ほんとうに悔しい思いをして。どこで見返そうかとずっと考えていました」

1月にゴールキーパー圍謙太朗がFC東京の一員となってから五カ月が過ぎた。
桃山学院大学出身の大卒ルーキー。藤嶋栄介(現サガン鳥栖)と守護神の座を争いながら2013年のユニバーシアードカザン大会に出場、銅メダリストに輝いている。それだけの実績を持ってしても、日本代表の権田修一、権田と正ゴールキーパーの座を争う塩田仁史、既にJ2での出場経験があり東京でベンチ入りを果たしたこともある廣永遼太郎の三人がいる東京で、ポジションを獲得することは容易ではない。
しかし圍は権田がワールドカップのために離脱したヤマザキナビスコカップの三試合中二試合でベンチ入りを果たした。ゴールキーパーがひとり減った状況ではあるが、このベンチ入りは圍本人にとってどのような意味を持つのだろうか。

「(入団時)みなさんに言ったこともあり、(層が厚くて)苦労するとわかってここに来たという自覚がありました。そのぶんメンタルを落とさず、先を見て取り組むことができた。
だから今回、(ヤマザキナビスコカップの第4節と第5節で)入ることができたのだと思います。ヒロくん(廣永遼太郎)はそういうメンタルの持っていき方に慣れていると思うので、もしここでメンタル(の調子)を落としていたら、四番手で、ずーっと練習で終わってしまっていたと思うんです。
でも入れた。発言した分、苦労するんだぞということを心に置いてやってきたからだと思います」

成果を上げるために宣言は必要だったのだろうか?
「大学時代、そういうふうに(有言実行を自らに強いて)やってきたんです。言ったことが、けっこうそのとおりになってきた。だから(東京に)入ったときはそう言ったんですけど、でも、ここから先は……まだ試合に出ていないから、ファンの方も含め、みなさんの視野に入っていないと思うんです。大きい発言をするというよりは、むしろ何も言わず、淡々とやったほうがいいのかと。
周りに言えない分、おれはこういう路を辿ってこうなるから――と、親や浅利(悟)さんなどには言ったりして。口に出して言うことでこれから向かう目標を明確にして自分のリズムをつくる、それは(身内に漏らすことで)やっているので、大丈夫なんですけれども」

圍は自らの成長を、特に精神面にあると語る。
「一回メンバーに入ってから三カ月近く空いてまた今回メンバーに入った。最初のときよりは成長しているというか、メンタルが落ち着いてきていると思います。いつ(先発選手が)けがをしても、おれが出て止めてやるよ、くらいの気持ちでいることができました。しかし最初のメンバー入りのときは、出場の機会が巡ってきたとして、おれにやれるのかな? という気持ちが強かった。

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