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【有料記事/J3第5節第2報】FC東京U-23、初の勝点1をゲット! キャプテン秀人が示す進化の可能性~安間貴義監督「点を獲られてすぐに“あわてるな”とやってくれていたのはヒデ」(2016/04/17)

ガンバ大阪U-23に二川孝広がいて、セレッソ大阪U-23に橋本英郎がいたことは、偶然ではないだろう。下部組織出身で若者たちへの親和性が高い二川。考えて話す力を高い水準で持ち、落ち着いた橋本。おとななら誰でもいいというわけでない。U-23のチームにオーバーエイジとして適応できる“教師役”は、そう多くはないはずだ。若い生徒たちは先輩の言葉を“なんだよ”とよく思わないおそれもある。それでも淡々と、教えられることはできるかぎり伝播させていく、ある種の性格からくる、年下集団への馴染みのよさが求められるからだ。

夢の島競技場の選手入場を観て「おやっ」と思った。FC東京U-23の先頭に、キャプテンマークを巻いた高橋秀人がいたからだ。
自身のコンディション調整を目的としてトップチームから派遣されてくるオーバーエイジの選手から、キャプテンを買って出ようとは言いにくいはず。若者を脇で支える立場からあまり前に出たくないとも思うだろうし、その週にJ1で出場機会がなく配置転換されていることに、複雑な思いもあるかもしれない。
しかし高橋の姿は堂々としていた。内心、もしかしたらきょうは初めて勝てるのでは、と思ってしまった。いま考えると、この黄色い腕章を巻いた教師役が、若い選手たちの能力を引き出す触媒になりそうだという予感だったのだと思う。

最近、安間貴義U-23監督がよく話すのは、岡崎慎のことだ。好きな選手が吉本一謙になってきた、というエピソード。
言わんとしていることはわかる。足許の巧さが染みついた岡崎の世代からすれば、吉本はユースの先輩と言えども、フィジカル重視のオールドタイプに属する。尊敬はしても目標にはしてこなかったはずだ。しかしともにプレーしてみて、大局的な判断やコミュニケーション能力など、自分にないよさが見えてきたのだろう。
もし足許の巧さで勝敗が決まるなら、フリースタイルで活躍するボールアーティストが世界一のフットボーラーということになる。ところが、サッカー界で長く生き残っているのは、巧さもさることながら、考える力を持ち、人間性に優れた選手たちだ。長谷部誠を考えればよくわかる。

そうしたよさは高橋秀人にもある。
安間貴義監督は会見が終わったあと、こう言っていた。
「点を獲られて(1-0から1-1となり)すぐに“あわてるな”とやってくれていたのはヒデじゃないですか。あれで全然ちがう。無理して行かずにバランスをとっていた。それが勝点1につながっていたと思う」
初の引き分けをなしえた影に高橋がいたというのだ。

当然かもしれないが、

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