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【無料記事】FC東京U-18、士気の高い横浜FCユースに敗れる! 佐藤一樹監督「お灸をすえられた」(2016/06/05)

先制点を許し、呆然とするFC東京U-18の選手たち

先制点を許し、呆然とするFC東京U-18の選手たち。

セカンドハーフ、鈴木郁也などの推進力を活かして攻めまくる東京。

セカンドハーフ、鈴木郁也などの推進力を活かして攻めまくる東京。

蓮川壮大が逆転ゴール。勝利をほぼ掌中に収めたが……。

蓮川壮大が逆転ゴール。勝利をほぼ掌中に収めたが……。

もつれ込んだPK戦でまさかの敗戦。この教訓を活かし、今後の大会に臨んでほしい。

もつれ込んだPK戦でまさかの敗戦。この教訓を活かし、今後の大会に臨んでほしい。

6月4日、FC東京U-18は東京ガス武蔵野苑多目的グランドに横浜FCユースを迎え、第40回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)関東大会準々決勝を戦った。FC東京U-23の一員としてJ3に出場する2種登録選手がずらりと顔をならべた豪華メンバーだったが、90分を終えて3-3の同点。大会規定により延長なしのPK戦に突入、3-4で敗れた。今大会の東京は既に2勝を挙げ、全国大会への進出を決めているものの、関東大会の連覇はならず、途中敗退となる。

試合は16時キックオフ。4-4-2で臨むFC東京U-18はゴールキーパーを波多野豪が務め、最終ラインは右から岡庭愁人、蓮川壮大、岡崎慎、坂口祥尉とならぶ4バック。ドイスボランチは伊藤純也と鈴木喜丈、両サイドハーフは右に生地慶充、左に内田宅哉という中盤。2トップは半谷陽介と鈴木郁也が組んだ。久保建英と平川怜が不在とはいえ、スタメンの7人が2種登録選手という豪華布陣だったが、これが裏目に出た。呼吸、意図が合わず、ピーク時のパフォーマンスを示せない。最終ラインと中盤とのあいだも意思疎通を欠き、バイタルエリアを使われ、失点を重ねた。

2トップが個の突破でチャンスをつくろうとするものの、全体的にあたたまっていない感じの東京は、積極的にゴールを狙う強気の横浜FCユースに押され、前半28分、中央で13番瀬長直亮とのワンツーから10番服部剛大に決められ、横浜FCユースに先制点を許してしまう。同44分、相手ゴールキーパー杉本将哉が前に出た隙に内田宅哉が同点ゴールを決めるが、直後にキックオフから瀬長が斜めに持ち出し、あっさりとシュートを撃たれてまたも失点。1-2でファーストハーフを終えた。

このままでは負けてしまう東京は、セカンドハーフに入ると一気にギアを上げ、1分に一回のペースで決定機づくりに挑みつづける。長いボールを出して一発でウラをとり、個の力でゴリ押しするケースが多かったが、この姿勢が効いた。後半11分に半谷陽介が倒れて獲得したPKを自ら決めて2-2。後半34分には左からのフリーキックをファーでヘディングしきれなかった蓮川壮大が、再び送られてきたこぼれ球を、相手を背負いながら寝転ぶようにして足で決め、ついに3-2と勝ち越した。しかし後半39分、あきらめない横浜に圧され、ペナルティボックス内で痛恨のハンド。これを横浜の7番山本凌太郎に決められて3-3となり、試合はこのまま終了した。

その後、大会規定により、準決勝進出チームを決めるべく、延長戦なしでPK戦へ。途中まで3-2とリードしていたが、東京は4人めから6人めまでまさかの三連続失敗。3-4でPK戦を落とし、東京の関東大会は準々決勝で終わった。

◯佐藤一樹監督の談話

――前半がスローペースというか、静かな立ち上がりになってしまいました。
佐藤一樹監督 そうですね。「ゲームにしっかり入っていくことが大事だよ」と、最初から圧力をかけていこうという話をしてゲームに入ったつもりだったのですが、そこが徹底できていなかったのかな、と。いろいろな大会を通して戦っていくなかで、パワーの出しどころと言いますか、どうしてもスロースターターになる傾向が少しあった。(1-2の1点ビハインドで迎えた)後半、ほんとうにいよいよパワーを出さなければというところで、ようやくエンジンがかかったと思うのですけれども、90分を通して横浜FCさんのほうが「勝ちたい」という気持ちをもって、謙虚にサッカーに向き合っていたと思います。かたや、ウチにはそうでないふうに見えた選手も何人かいたのかなという部分がありました。いつかひっくり返せるだろうと、90分間を通したゲーム運びをしていたのかなという反面、こういうかたちになると、もうちょっと前半から圧力をかけられなかったのだろうかという思いにかられることもたしかです。

――いまおっしゃった気持ちの部分で横浜FCが上回っていたことで、先手を取られて後手にまわった印象もあります。
佐藤一樹監督 (これまでは)こういう展開でもひっくり返せることが多かった。げんに、(この日も)ひっくり返して(3-2と逆転)、そのあと、なんとなく自分たちのペースかなというところで、あの(同点にされる)PKを与えてしまったところは、もっともっとしっかりとサッカーに向き合わないといけなかったんじゃないかなと思うので。ちょっともったいなかったな、というふうに思いますね。

――きょう、攻撃面では、波多野選手のキックがほとんど一発でウラに通ってチャンスになっていた反面、攻められて受けにまわると、あっさりバイタルのところを割られているケースが多かったように思います。
佐藤一樹監督 きょう、1対1のところで個の突破を許したシーンも多かったので、チームとして、ちゃんと向き合ってトレーニングしていかないといけないですね。

――PK戦に関しては運の要素もあるので敗戦も致し方ないところでしょうか。
佐藤一樹監督 PKも勝てるチャンスがあったので、それも自ら逃してしまったと考えると、ちょっと残念ですけど、こればかりは。今回はキッカーも、自信があるやつが行けと言いました。責任は全部ぼくにあるので、それはしょうがないことかなと思いました。

――勝ち上がりということを考えると関東大会の突破自体は決まっている状態だったのですけれども、この試合の勝ち負けは……でも大事ですよね?
佐藤一樹監督 去年、おととしと、この大会に優勝しているんですよ。二連覇して全国に出ているので、先輩の築き上げた歴史を壊してしまったなという認識でいいと思うんですけれども、そこにモチベーションがあるのか、どうか。

――久々に2種登録選手がほぼ全員集まってベストメンバーと言っていい布陣だったと思うんですけれども。
佐藤一樹監督 そうですね、それが逆にこう、よく出た部分と、悪く出た部分があった。それは慢心ということではないですけれど、ね。なんとなく自分たちがやれるんじゃないかという雰囲気がもしかしたらあったのかもしれない。そのことを踏まえると、これをいい薬にしないといけないと思います。これで全国を失うようなことがあれば、とんでもないことだったでしょうし。そのへんの締め方、持っていき方は、今後の課題かなと思います。

――全国大会なり、再開後のリーグ戦なりで、苦い薬を活かさないといけないですね。
佐藤一樹監督 そういう意味ではいい薬、お灸をすえてもらったなと思いますし、たぶん選手も(と、選手たちを見て)けっこう落ち込んでいたので。サッカーの甘くないものを感じてくれればいいと思います。彼らはこの先長いですから。

◯蓮川壮大キャプテンの談話

――久々に2種登録選手が集まって、ベストメンバーに近い陣容になったことで、それなりの難しさはあったんでしょうか?
蓮川壮大 (ずっとU-23に専念していた)岡崎(慎)選手が久々にユースの公式戦メンバーに入って出場したのですけれど、日頃の試合ではいっしょにプレーしていませんから、やっぱり少し合わないところもありました。でも、どんな選手が入っても、常にいいパフォーマンスができるのがいいチームだと思っているので、日頃の練習から誰が出てもいいチームでいられるようにトレーニングしていくことが大事だと思っています。

――そういう意味では、ことしU-23が始まって、U-23とU-18のAチームBチームと、すごく流動性が出てきた初めての年で、やってみないとわからないことが、いろいろ出てきているのかな、と。
蓮川壮大 U-23のほうの試合のメンバーがぎりぎりまで決まらない。前日にU-23のスタメンで出ることが決まる、土曜日にユースの公式戦があって日曜日にU-23に出るということが多いので、常にいい準備をして、ユースのほうも、誰が出てもいいように全員が意識を持ってやっていくことが大事ですね。

――スロースターターと言われて、しかしきょうも一度はひっくり返したわけですよね。PK戦のなかでも勝つチャンスはあった。ひっくり返された原因がこれ、というのはなかなか出てこないかとは思うんですけれども、何か思い当たるところは?
蓮川壮大 ああ、でも、勝ち越したあとに、気の緩みではないのですけれども、なんとなく勝てるんじゃないかとか、そういう部分で、一個ポジション(をとること)をさぼってしまったり、マークの緩さが出てしまったり、そういうところはあったかもしれません。

――バイタルをかんたんに崩されたのが気になりました。
蓮川壮大 センターバックとボランチのあいだに相手のフォワードとか(前の選手)が降りてきたときに、誰がつくのか全然はっきりせず、うしろとボランチとで合わせることができていなかったので。2失点めのシーンも、うしろがちょっと引いて前からプレッシャーをかけたくなかったんですけれども、真ん中の選手はプレッシャーをかけたい。そこでプレッシャーをかけに行ったところで、うしろが追いついていない状況のときに、フリーでやられてしまった。声をかけて全体に合わせることが大事だと思いました。

 

 

 

 

 

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