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【J3第14節第2報/FC東京U-23ホーム初勝利記念特別無料記事】コラム◆U-23にホーム初勝利を呼び込んだ“キャプテン”吉本一謙のPower of smile(2016/06/26)

宵闇迫る、午後7時の味の素フィールド西が丘。タイムアップの笛が鳴った直後、FC東京U-23の若者たちは、全力を出し尽くして疲労困憊のていだった。しかしその横で、顔いっぱいに喜びをみなぎらせ、互いのからだを叩き、労っているのが、三人のオーバーエイジだった。あきらかに23歳以下の選手よりもうれしそうな笑顔を浮かべている。圍謙太朗25歳、吉本一謙28歳、水沼宏太26歳。彼らは技量や体力のみならず、勝利を欲すること、成果を喜ぶことにかけても、23歳以下の若者たちを上回っていた。もしトップとU-23のあいだに明確な差があるとするならば、この「笑顔の力」に於いてなのではないか。

試合後のミックスゾーン。“主役”の室屋成、あるいはユ インスが通るよりも早く、オーバーエイジ三人衆が帰路へとつこうとする。三人のなかで、ひときわ笑顔が眩しかった吉本を引き留めた。
「J3だといつも話してくれないから」と、こちらが軽くジャブを飛ばせば、吉本は「いやいや、誰も訊いてこないですから(笑)」。きちんとホーム初勝利の余韻を引きずって機嫌はいい。この気持ちについて訊ねたかった。

吉本 きょうは(FC東京U-23が今季)ホームで勝っていなかったので、絶対勝点3を獲らなきゃいけないと思って臨んだし、個人的には、水沼選手(※公式な取材の場では、吉本は敬称を用いようとする)がきょう初めて来て。いろんな選手とプレーしてきたけど、宏太(※しかし話に没入すると愛称になる)は、ほんとうにいっしょにプレーしたいと思える選手。勝ちに貪欲だし「いっしょに、俺らで勝たせよう!」と話をしていた。若い選手たちにも、宏太はいいものをもたらせてくれたと思います。

「勝ちに貪欲」というキーワードが出てきた。試合終了直後の印象に似ている。水沼はトップのときのように単騎突撃とクロスを繰り返すのではなく、幅広い範囲をあちらこちらに動き、チームメイトをサポートする動きを多く増やしていた。勝つためのプレーだったのか。勝つんだという意志の強さが水沼に顕著だったとしたら、やはりそれがトップのトップたる証なのではないか。

吉本 そうですね。まあ難しいですけど、最後のフリーキックをしっかりタッチライン際でプレーする(※試合終了間際の時間帯のボール保持)ことは。そういう一試合にかける思いをいままで経験してきていると思うので、そういうものを自分たちがプレーすることで感じてもらえたら、チームにとって大事なことだと思う。ちょっと見苦しいかもしれないけど、こまかいところにこだわる、そういう意味で、きょうは宏太といっしょに戦って、戦う姿勢、ひとつのプレーにも妥協しない姿勢を感じ取ってくれたらうれしいし、ここで戦っている選手たちがいろいろ感じて、将来FC東京を背負って優勝できるような、そういう試合をしたいと思っていつも来ているので、きょうはホームで勝ててよかった。

絶対に勝ちたいと思う。
絶対に勝つと決心する。
勝つために泥臭くプレーする。
勝ったらきちんと喜ぶ。

このサイクルに、技術も戦術も直接の関係はない。勝つために何が必要なのか。吉本たちが見せた満面の笑みが、その答えを示唆していた。

 

 

 

 

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