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【無料記事】原点を思い起こせ。FC東京U-23、嵐の再出発。中村忠新監督の前に立ちはだかるのはかつての盟友、“闘将”柱谷哲二監督率いる鳥取(2016/07/29)

◯中村忠新監督の初陣

7月31日、FC東京U-23は味の素フィールド西が丘でガイナーレ鳥取と対戦する。日本海の雄を率いるのは“闘将”柱谷哲二監督。東京U-23の中村忠新監督にとっては、日本代表とヴェルディ川崎に於けるチームメイトに当たる。かつての盟友が、いきなり強敵として立ちはだかる。

FC東京は24日から26日にかけ、監督人事をめぐって激震が走ったばかり。トップチームの城福浩前監督が解任され、篠田善之監督体制に移行すると、東京U-23の安間貴義監督がトップチームコーチ専任となり、T1リーグのチームを指導していた中村忠U-18コーチがU-23監督に就任した。安間監督が手塩にかけて育てた選手たちが、得意の3バックになじみつつ結果を出し始めていた矢先の体制変更。ここに来て成長度合いが目に見えるほどわかりやすく力を伸ばしてきた野澤英之やユ インスがJ1メンバーに入り、U-23の試合に出場しない可能性もある。特別指定の大学生選手が参加してくれそうなことはさいわいだが、頼みの綱であるU-18メンバーを日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会)から何人か呼び戻さなくてはいけない状況にかわりはなく、戦力編成は厳しいものになりそうだ。選手をやる気にさせる、独特の呼びかけ術を持つ中村監督が、どれだけチームに火を入れてくれるかが、ひとつの見どころとなるだろう。

◯ポジションを獲りに行く集団

しかしそもそも東京U-23は、FC東京のトップチームでの出場を目標に様々なカテゴリーから集まった選手が競い合う場であり、大学生の小山拓哉や高校生の岡崎慎を除けば“ほぼ専従”格の選手はなく、入れ替わりも激しい。メンバーが不安定なのはいつものことなのだ。
篠田監督はトップ対U-23+αの紅白戦を振り返って「彼らはポジションを奪いに来ている」と言う。本質はポジションを獲ろうとする集団だ。そのなかにはポジティヴな不在、すなわちトップ昇格による離脱もある。

トップでの出場も間近かと噂される野澤は、平岡翼が右サイドバック、佐々木渉が左サイドバック、自身が左センターバックに配される状況の紅白戦であっても「もちろんアピールしてポジションを獲ろうという気持ちはあります」と、強い意欲を示している。入団当初の優しい顔つき、ポジション争いが険しくなってからの鋭い眼差し、その両方が融合し、精悍な笑顔を向けるようになってきた。その点だけをとっても今シーズンの成長は顕著だが、やはり実際のプレーが圧巻だ。開幕直後の鈍重さはどこへやら、キレがよく推進力があり、力強くボールを奪い、パスを通し、点を獲ることまでできるようになってきている。

「シーズン最初は試合勘も全然なかったですし、ここ二~三年、試合の数をこなしていなかったのでコンディションもよくなかった。まだ半年くらいですけど毎週公式戦があって、そこに向けてどう準備しようかと考えて毎週毎週をしっかりと過ごせてきたことが大きいかなと思いますし、その積み重ねでからだのキレがよくなり、やれることが増えてきているとも感じます。でも、まだまだトップで出るには足りない。もっともっとできることを増やしていきたい」

一時期を例外として、野澤は過去数年間不遇をかこった。試合経験の不足を補ったのは東京U-23であり、J3だった。
「プレーはどんどんよくなってきている。コンディションもよさそうだ。これをつづけろ」と、篠田監督や安間コーチに声をかけられるという野澤。J1のメンバーに入るまでJ3でアピールをつづける覚悟だ。
「今シーズン、残り10数試合で絶対にJ1に絡みたいし、ここでメンバーに入れないと厳しい」
覚悟と能力の向上とを結びつけるために、J3は野澤にとって有用な戦いのフィールドだった。そして力を伸ばしたいま、トップに混じって練習し、アピールする機会を獲得しつつある。
東慶悟は言う。
「若い選手も紅白戦に出ることができている。城福さんのときは分かれてやっている部分が多かった」
野澤がようやく花開きつつある“つぼみ”だとするなら、平岡や佐々木もあとにつづかなくてはならないだろう。試合に出たいという根源的な意欲を糧に次週のJ1を熱望する若者の集まりだと再認識しつつ、東京U-23がリスタートするさまをこの眼で観たい。

 

 

 

 

 

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